妊娠中の当帰芍薬散は飲んでも大丈夫?効果やいつまで飲むか解説

公開日:2026/01/06 

更新日:2026/01/06

妊娠中の当帰芍薬散は飲んでも大丈夫?効果やいつまで飲むか解説します。妊娠中に体調の変化を感じ、当帰芍薬散の服用を検討する方は少なくありません。
特に、妊活中から服用していた場合、妊娠がわかった後も飲み続けてよいのか、胎児への影響はないのかといった不安を感じることもあるでしょう。

この記事では、妊娠中の当帰芍薬散の服用に関する安全性や期待できる効果、いつまで飲むかといった疑問について解説します。
当帰芍薬散は産婦人科でも用いられる漢方薬ですが、服用前には必ず医師や薬剤師に相談することが重要です。

結論:妊娠中の当帰芍薬散服用は基本的に問題ありません

当帰芍薬散は産婦人科領域で広く用いられており、妊娠中に服用しても基本的に問題ないとされています。
多くの研究で安全性が確認されており、むしろ妊娠中の母体と胎児にとって良い影響が期待できる漢方薬として知られています。

ただし、どのような薬でも体質に合う合わないがあるため、服用にあたっては自己判断せず、必ず医師や薬剤師、登録販売者などの専門家に相談することが前提となります。

古くから「安胎薬」として使用されてきた実績

当帰芍薬散は、約1800年前の中国の医学書「金匱要略」に収載されて以来、婦人科系の疾患に用いられてきた歴史ある漢方薬です。
特に、妊娠中の母体を安定させ、流産を防ぐ「安胎薬」としての実績が豊富にあります。

子宮の血流を促進し、胎児が育ちやすい環境を整える効果が期待されるため、習慣性流産や切迫流産の治療にも応用されてきました。
このように、長い歴史の中で安全かつ有効な処方として確立されており、現代の産婦人科医療においてもその価値が再認識されています。

胎児への影響は?安全性が認められています

妊娠中の服薬で最も気になるのが胎児への影響ですが、当帰芍薬散は安全性が高いとされています。
複数の臨床研究において、当帰芍薬散の服用が胎児の奇形リスクを上昇させないことが報告されています。

むしろ、子宮内の血流を改善することで胎児の発育を助けると考えられており、妊娠高血圧症候群の予防や、妊娠中のむくみ、冷えといったマイナートラブルの改善にもつながります。
これらのことから、産婦人科医が妊婦に処方する漢方薬の代表的なものの一つとなっています。

そもそも当帰芍薬散とは?血行と水分代謝を整える漢方薬

当帰芍薬散は、体内の血液循環を促進し、余分な水分の排出を助けることで、全身のバランスを整える漢方薬です。

漢方医学では、血液が不足した状態を「血虚」、水分代謝が滞った状態を「水滞」と呼び、これらが冷えやめまい、むくみなどの原因と考えます。

当帰芍薬散は、この血虚と水滞を同時に改善する働きがあり、特に体力があまりなく、冷え症で貧血傾向のある女性に適しています。

妊娠中のつわりや動悸、足のむくみといった症状の緩和にも用いられます。

6種類の生薬が持つそれぞれの役割

当帰芍薬散は、「当帰」「川芎」「芍薬」「蒼朮」「沢瀉」「茯苓」という6種類の生薬で構成されています。
当帰・川芎・芍薬は、血を補いその巡りを良くする「補血・活血」作用を持ち、貧血や冷え、月経不順などを改善します。

一方、蒼朮・沢瀉・茯苓は、体内の余分な水分を排出する「利水」作用があり、むくみやめまい、胃腸の不調を整えます。
これら6つの生薬が相互に作用し、血行と水分代謝の両面からアプローチすることで、お腹の張りや痛みといった症状を和らげ、心身のバランスを整える働きをします。

「血虚」と「水滞」を改善する仕組み

漢方では、体の不調は「気・血・水」のバランスの乱れから生じると考えます。
当帰芍薬散は、このうち「血」と「水」の異常である「血虚」と「水滞」を改善する処方です。
「血虚」とは血が不足し栄養が全身に行き渡らない状態で、貧血やめまい、疲労感の原因となります。

「水滞」は水分代謝が悪く、体内に余分な水分が溜まった状態で、むくみや冷え、頭痛を引き起こします。
当帰芍薬散は、血を補い巡りを良くすると同時に、利水作用で不要な水分を排出することで、これらの症状を根本から改善します。
いつまで飲むかについては症状や体質によるため、専門家への相談が必要です。

妊娠中に当帰芍薬散を飲むことで期待できる4つの効果

妊娠中はホルモンバランスの変化や体の負担増加により、様々なマイナートラブルが起こりやすくなります。
当帰芍薬散は、そのような妊娠中の不調を和らげる効果が期待できる漢方薬です。
具体的には、血行を促進し水分代謝を整える作用により、つらいむくみや冷えの緩和、貧血症状の改善、お腹の張りや痛みの鎮静、そして流産リスクの低減などが挙げられます。

ここでは、妊娠中に当帰芍薬散を服用することで期待できる代表的な4つの効果について解説します。

つらい「むくみ」や「冷え」の症状を和らげる

妊娠中は血液中の水分量が増える一方で、大きくなった子宮が足の付け根の血管を圧迫するため、むくみや冷えが起こりやすくなります。
当帰芍薬散に含まれる蒼朮や沢瀉、茯苓には、体内の余分な水分を尿として排出させる「利水作用」があります。

これにより、細胞の間に溜まった水分が取り除かれ、足や顔のむくみが軽減されます。
また、当帰や川芎などの生薬が血行を促進し、体の末端まで温かい血液を届けることで、つらい冷えの症状も和らげます。
まれに胃腸系の副作用が出ることがあるため、体調の変化には注意が必要です。

めまいや立ちくらみなどの「貧血」症状を改善する

妊娠中は、胎児に栄養を送るために血液量が増加しますが、赤血球の増加が追いつかず、血液が薄まった状態(希釈性貧血)になりがちです。
これにより、めまいや立ちくらみ、動悸といった貧血症状が現れやすくなります。

当帰芍薬散は、「補血薬」の代表である当帰や芍薬を含んでおり、血を補ってその働きを助けることで、これらの貧血に伴う諸症状を改善する効果が期待できます。
西洋医学的な鉄剤の補充と並行して、体質改善の目的で用いられることもあります。

お腹の張りや痛みを鎮める

当帰芍薬散に含まれる「芍薬」には、筋肉の異常な緊張を和らげる鎮痙作用があります。
妊娠中、特に初期から中期にかけては、子宮が大きくなる過程で下腹部に張りや痛みを感じることがあります。

当帰芍薬散は、この子宮筋の緊張を緩めることで、お腹の張りやキューッとするような痛みを和らげる効果が期待されます。
そのため、切迫流産や切迫早産の兆候が見られる場合に、産婦人科で処方されることもあります。
ツムラなどの医療用漢方製剤としても広く使用されています。

流産のリスクを低減し、妊娠継続をサポートする

当帰芍薬散は古くから「安胎薬」として知られ妊娠の維持を助ける目的で用いられてきました。
その作用は子宮や卵巣への血流を増加させ胎児が育ちやすいように子宮内環境を整えることにあると考えられています。
血行が改善されることで胎児に十分な栄養と酸素が供給され健やかな発育をサポートします。
この働きにより切迫流産や習慣性流産の治療に有効とされ西洋薬の流産・早産治療薬(リトドリンなど)と併用されることもあります。

当帰芍薬散はいつからいつまで飲むべき?服用期間の目安

当帰芍薬散をいつからいつまで服用するかは、個人の体質や症状、服用の目的によって異なります。
妊活中から飲み始め、妊娠後も継続して服用するケースもあれば、妊娠中の特定の症状を緩和するために期間限定で服用する場合もあります。
自己判断で服用期間を決めずに、処方した医師や相談した専門家の指示に従うことが大切です。

ここでは、一般的な服用期間の目安について解説します。

妊活中から継続して服用しても問題ない

当帰芍薬散は月経不順や冷え性、排卵障害といった不妊の原因となりうる症状の改善に用いられることが多く、妊活中から服用を始める方も少なくありません。
血行を促進し、子宮や卵巣の機能を高めることで、妊娠しやすい体づくりをサポートします。

そして、無事に妊娠が成立した後も、そのまま服用を継続することが可能です。
むしろ、妊娠初期のデリケートな時期に子宮環境を安定させ、妊娠の維持を助ける安胎薬としての役割が期待できるため、医師の指示のもとで継続することが推奨される場合もあります。

妊娠初期から産後まで長く飲み続けられる

当帰芍薬散は妊娠中の幅広い期間で活用できる漢方薬です。
妊娠初期には安胎薬として流産予防の目的で用いられます。

妊娠中期から後期にかけてはむくみや冷え貧血お腹の張りといったマイナートラブルの緩和に役立ちます。
さらに産後は体力を消耗し「血」が不足しがちな状態(産後血虚)になるため体力の回復を助ける目的で服用が継続されることもあります。
このように妊娠前から産後まで女性の体の変化に寄り添い長くサポートしてくれる処方です。

服用を中止するタイミングは医師に相談を

当帰芍薬散の服用をいつやめるかについては、自己判断で決めないことが重要です。
症状が改善したからといって急に中断すると、再び不調が現れる可能性があります。

また、妊娠週数が進むにつれて体の状態は変化するため、その時点での体質や症状に適した処方であるかを定期的に見直す必要もあります。
服用を中止したい場合や、服用期間について疑問がある場合は、必ず処方を受けた医師や漢方の専門家に相談し、その指示に従ってください。
体調の変化を伝えながら、最適なタイミングを判断してもらいましょう。

妊娠中に服用する前に知っておきたい注意点

当帰芍薬散は妊娠中でも安全に使えるとされる漢方薬ですが、服用にあたってはいくつかの注意点があります。
天然の生薬から作られているため副作用は少ないとされていますが、体質によっては合わない場合もあります。

また、漢方薬は個人の体質や症状に合わせた「証(しょう)」の見極めが効果を得るために重要です。
安全に、そして効果的に服用するためにも、自己判断での購入や使用は避け、事前に専門家へ相談することが大切です。

胃もたれや下痢など胃腸の副作用がでることがある

当帰芍薬散は比較的副作用の少ない漢方薬ですが、まれに胃腸症状が現れることがあります。
配合されている生薬のうち、当帰や川芎は胃腸が弱い人にとって、もたれや食欲不振、吐き気などの原因となる可能性があります。

また、体質によっては下痢を起こすことも報告されています。
特に、もともと胃腸が虚弱な方や、つわりで消化機能が低下している時期は注意が必要です。
もし服用後にこのような症状が現れた場合は、無理に続けず、すぐに医師や薬剤師に相談してください。

体質に合わない場合もあるため「証」の見極めが重要

漢方薬は、その人の体質や体力、症状の現れ方といった「証」に合わせて処方されます。
当帰芍薬散が適しているのは、主に体力があまりなく、色白で筋肉がやわらかく、冷え性で貧血傾向、むくみやすいといった「虚証」かつ「血虚」「水滞」の体質の人です。

反対に、体力があり、のぼせやすく、胃腸が丈夫な「実証」タイプの人が服用すると、効果が得られないばかりか、かえって体の不調を招く可能性もあります。
漢方の効果を最大限に引き出すためには、この「証」の見極めが非常に重要です。

自己判断で購入・服用せず専門家に相談しよう

当帰芍薬散はドラッグストアなどでも市販されていますが、妊娠中の服用は特に慎重になるべきです。
市販薬を購入して自己判断で服用することは避けてください。
まずは産婦人科の医師に相談し、ご自身の症状や体質に合っているか診断してもらうことが最も安全です。

また、漢方薬局や漢方に詳しい薬剤師に相談するのも良い方法です。
専門家は「証」を的確に見極め、最適な処方や服用方法を提案してくれます。
他の薬との飲み合わせの問題もあるため、必ず専門家の管理のもとで服用を開始しましょう。

当帰芍薬散に関するよくある質問

ここでは、妊娠中の当帰芍薬散の服用に関して多くの方が抱く疑問についてお答えします。
病院で処方される医療用と市販薬の違い、妊娠判明後の継続服用、他の薬との併用など、気になる点について簡潔に解説します。

ただし、最終的な判断は個々の状況によって異なるため、必ずかかりつけの医師や薬剤師にご相談ください。

Q1. 病院で処方されるものと市販薬に違いはありますか?

医療用と市販薬では、有効成分の含有量が異なる場合があります。
一般的に、医師が処方する医療用医薬品の方が、1日あたりの生薬の配合量が多い傾向にあります。
そのため、より高い効果が期待できる可能性があります。

また、医療用は健康保険が適用されますが、市販薬は全額自己負担となります。
どちらを選ぶべきかは、症状の程度や体質によるため、専門家への相談をおすすめします。

Q2. 妊娠がわかったら、飲むのをやめるべきですか?

妊活中から服用していて妊娠が判明した場合、自己判断でやめる必要はありません。
当帰芍薬散は妊娠の維持を助ける「安胎薬」としての効果も期待できるため、継続して服用した方が良いケースも多いです。

ただし、妊娠したことは必ずかかりつけの医師や漢方の専門家に報告し、今後の服用について改めて指示を受けてください。
体質の変化に合わせて、処方が変更になる可能性もあります。

Q3. 他の薬(張り止めなど)と併用しても大丈夫ですか?

当帰芍薬散は他の薬との相互作用が少ないとされ、切迫流産・早産の治療薬である張り止め(リトドリンなど)や、便秘薬、鉄剤などと併用されることも多いです。

しかし、薬の組み合わせによっては予期せぬ影響が出る可能性もゼロではありません。
現在服用中の薬がある場合は、必ず医師や薬剤師にすべて伝え、飲み合わせに問題がないかを確認してもらってください。

まとめ

当帰芍薬散は、妊娠中のむくみ、冷え、貧血、お腹の張りといったマイナートラブルの改善や、流産リスクの低減が期待できる漢方薬です。
古くから安胎薬として用いられてきた実績があり、安全性も高いとされています。

妊活中から産後まで長期間にわたり服用が可能ですが、胃腸症状などの副作用や、体質に合わない場合もあります。
そのため、服用を希望する場合は自己判断せず、必ず産婦人科医や漢方の専門家に相談し、自身の体質や症状に合った適切な指導のもとで使用することが重要です。

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この記事の監修者

監修者の写真

藤鬼 千子

住吉鍼灸院総院長

東洋鍼灸専門学校卒業後、2011年4月に住吉鍼灸院に入社し、9年間住吉鍼灸院院長として従事。
現在は総院長として妊娠を望むすべてのご夫婦に貢献している。

《資格》

はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師、不妊カウンセラー

《経歴》

東洋鍼灸専門学校 卒業
住吉鍼灸院 院長就任
住吉鍼灸院 総院長就任

《所属》

日本不妊カウンセリング学会会員

《SNS》

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