着床完了のサインとは、受精卵が子宮内膜に着床した際に起こりうる身体の変化を指します。
これらのサインは、一般的に排卵から7日〜10日後、つまり妊娠3週目頃から感じ始める人がいますが、医学的に明確な兆候として定義されているわけではありません。
そのため、いつから始まるかには個人差が大きく、また、着床完了のサインが全くないまま妊娠が進むケースも多くあります。
着床が完了するのはいつ?排卵から妊娠成立までの流れ
妊娠の成立は、排卵から始まります。
卵子が卵管で精子と出会い受精すると、受精卵は細胞分裂を繰り返しながら約7〜10日かけて子宮に移動し、子宮内膜にもぐりこんで根を張ります。
この「着床」が完了すると妊娠成立です。
したがって、着床が完了するのは、排卵日から数えておよそ10〜12日後が目安となります。
体外受精の場合、受精卵を子宮に戻す(胚移植)日によって異なりますが、移植後数日で着床が始まると考えられています。
【症状別】これって着床サイン?妊娠超初期にあらわれる10の変化
着床完了のサインは、医学的に確証があるものではありませんが、妊娠超初期に多くの人が経験する体調変化として知られています。
これらは月経前症候群(PMS)の症状と似ているため見分けがつきにくいものの、妊娠を意識していると小さな変化にも気づきやすくなります。
体験談として語られることが多い10の症状を紹介しますが、個人差が大きく、これらの症状がない場合でも妊娠している可能性は十分にあります。
少量の出血が続く(着床出血)
着床出血は、受精卵が子宮内膜にもぐり込む際に内膜を少し傷つけることで起こる出血です。
色はピンク色や茶褐色で、おりものに混ざる程度の極めて少量であることが特徴です。
通常、出血は1〜3日程度で自然に止まり、生理のように量が増えることはありません。
ただし、この出血はすべての妊婦に起こるわけではなく、経験する人は全体の約25%程度といわれています。
生理の始まりと間違いやすいですが、量や期間が明らかに異なるため、注意深く観察することが一つの判断材料になります。
下腹部にチクチクとした痛みを感じる(着床痛)
着床期に、下腹部痛としてチクチク、ズキズキといった痛みを感じることがあり、「着床痛」と呼ばれることがあります。
この腹痛も、着床出血と同様に受精卵が子宮内膜にもぐり込むことで生じる刺激が原因ではないかと考えられていますが、医学的な根拠は明確ではありません。
痛みは一時的で軽い場合がほとんどです。
ただし、生理前の下腹部痛と区別がつきにくく、また強い痛みが続く場合は他の原因も考えられるため、症状が重い場合は医療機関に相談しましょう。
おりものの量や状態がいつもと違う
妊娠すると女性ホルモンの分泌量が変化するため、おりものに変化が見られることがあります。
着床の時期には、おりものの量が増えたり、普段よりも水っぽくなったり、逆に粘り気が強くなったりすることがあります。
また、着床出血が混じることで、薄いピンク色や茶色のおりものが出ることもあります。
色や状態の変化は個人差が大きいですが、普段と違うと感じた場合は妊娠の可能性を考えるきっかけの一つになるかもしれません。
ただし、かゆみや強い悪臭を伴う場合は感染症の可能性も考えられます。
我慢できないほどの強い眠気に襲われる
妊娠を維持するために増加する黄体ホルモン(プロゲステロン)には、眠気を引き起こす作用があります。
そのため、着床が完了し妊娠が成立すると、日中でも我慢できないほどの強い眠気に襲われることがあります。
これは、体を休ませて妊娠を維持しようとする体の自然な反応です。
体温を上昇させる働きもあるため、体がポカポカしてだるさを感じることもあり、風邪の初期症状と勘違いする人もいます。
普段とは違う異常な眠気が続く場合は、妊娠の兆候かもしれません。
胸の張りや乳首が敏感になる
着床後、妊娠状態を維持するために女性ホルモンの分泌が活発になると、乳腺組織が刺激され、胸の張りや痛みを感じることがあります。
乳首が下着に触れただけで痛むなど、普段より敏感になるのも特徴の一つです。
これらの症状は生理前にも現れることがありますが、妊娠超初期の場合は生理予定日を過ぎても症状が続いたり、より強く感じられたりする傾向があります。
胸の大きさや形に変化が見られることもあり、妊娠のサインとして比較的気づきやすい変化といえます。
基礎体温の高温期が2週間以上続く
普段から基礎体温を記録している場合、妊娠のサインを把握しやすくなります。
通常、排卵後に上昇した基礎体温は、生理が始まると低温期に移行します。
しかし、妊娠が成立すると、妊娠を維持するために黄体ホルモンが分泌され続けるため、高温期がそのまま持続します。
一般的に、高温期が16日以上続いた場合は妊娠の可能性が高いと判断できます。
まれに着床時に体温が一時的に下がる「インプランテーションディップ」が見られることもありますが、その後再び高温に戻ります。
吐き気や胃の不快感がある
一般的に「つわり」は妊娠5〜6週頃から始まるとされていますが、早い人では着床した直後の妊娠超初期から吐き気や胃のむかつきを感じることがあります。
これは「早い吐きづわり」とも呼ばれ、ホルモンバランスの急激な変化に体が適応しようとすることで起こると考えられています。
食べ物の匂いに敏感になったり、食欲がなくなったり、逆に特定のものが無性に食べたくなったりするなど、食の好みに変化が現れることもあります。
これも生理前の症状とは異なる、特徴的な変化の一つです。
トイレに行く回数が増える
着床して妊娠が成立すると、子宮への血流が増加し、全身の血液量も増えていきます。
これにより、腎臓が処理する水分量が増え、尿の量が多くなるためトイレが近くなることがあります。
また、妊娠が進むにつれて大きくなる子宮が膀胱を圧迫することも頻尿の原因となりますが、ごく初期の段階でもホルモンの影響で頻尿の症状が現れることがあります。
夜中に何度もトイレに起きるようになったり、外出先でトイレが気になったりする変化もサインの一つと考えられます。
頭痛や腰の重さを感じる
妊娠初期のホルモンバランスの乱れは、頭痛を引き起こす原因となることがあります。
また、出産に向けて骨盤を支える靭帯を緩める「リラキシン」というホルモンが分泌され始めるため、腰に負担がかかり、腰痛として重さやだるさを感じることもあります。
これらの症状は月経前症候群(PMS)でも見られるため、区別はつきにくいですが、生理予定日を過ぎても症状が改善しない場合は、妊娠の可能性も視野に入れるとよいでしょう。
普段、生理前に腰痛がない人が痛みを感じた場合も、一つのサインかもしれません。
気分の浮き沈みが激しくなる
妊娠によるホルモンバランスの急激な変化は、自律神経の働きにも影響を及ぼし、精神的な不安定さを引き起こすことがあります。
ささいなことでイライラしたり、急に悲しくなって涙もろくなったりと、感情のコントロールが難しくなることがあります。
これも月経前症候群(PMS)と似ていますが、気分の浮き沈みが普段よりも激しいと感じる場合は、妊娠超初期症状の可能性があります。
身体的な変化だけでなく、こうした精神面の変化も、体が妊娠に適応しようとしているサインかもしれません。
生理前の症状(PMS)と着床サインを見分ける3つのポイント
着床サインとして挙げられる症状の多くは、生理前の不快な症状である月経前症候群(PMS)と非常によく似ています。
そのため、体調の変化だけで妊娠しているかどうかを判断するのは困難です。
しかし、いくつかのポイントを注意深く観察することで、両者を見分けるヒントが得られる場合があります。
ここでは、PMSと着床サインの違いを判断するための3つのポイントについて解説します。
基礎体温が下がるか、高いままかをチェックする
最も客観的な判断材料の一つが基礎体温です。
PMSの場合、排卵後から続いていた高温期は、生理が始まる直前または開始とともに下がり、低温期へと移行します。
一方、着床して妊娠が成立した場合は、妊娠を維持する黄体ホルモンが分泌され続けるため、生理予定日を過ぎても体温が高いまま高温期が持続します。
日頃から基礎体温を測定していると、この違いが明確にわかり、妊娠の可能性を判断する有力な手がかりとなります。
出血の色・量・期間に違いがあるか確認する
出血の性質も重要な見分けポイントです。
着床出血は、ピンク色や茶褐色のおりもの程度の少量で、1〜3日で終わるのが一般的です。
一方で、月経(生理)は鮮血から始まり、徐々に量が増えて数日間続きます。
不正出血の可能性も考えられますが、明らかに生理とは異なる少量の出血が生理予定日あたりに見られた場合は、着床出血の可能性を考慮することができます。
ただし、着床出血がないまま妊娠する人も多いため、出血の有無だけで判断はできません。
生理予定日を過ぎても症状が続くか観察する
胸の張りや腹痛、眠気といった症状はPMSと妊娠超初期症状の両方で見られますが、症状が現れるタイミングと持続期間に違いが出ることがあります。
PMSの症状は、通常、生理が始まると同時に軽快するか、数日以内に治まります。
それに対して、妊娠による症状は生理予定日を過ぎても継続し、むしろ強くなっていく傾向があります。
いつもなら生理が来ると楽になるはずの症状が続いている場合、それは着床サインである可能性が考えられます。
着床のサインがなくても妊娠している可能性はある?
着床時に特別なサインを感じなくても、妊娠している可能性は十分にあります。
着床出血や着床痛といった症状は、経験しない人の方が多く、何の兆候もないまま妊娠が判明するケースは決して珍しくありません。
妊娠超初期症状とされる眠気やだるさなども個人差が非常に大きく、全く自覚症状がないまま過ごす人もいます。
したがって、着床完了のサインがないからといって、妊娠していないと判断するのは早計です。
症状の有無で一喜一憂せず、まずは生理が予定通り来るかどうかを待つことが重要です。
妊娠しているか正確に知りたい!検査薬を使う最適なタイミング
妊娠超初期に見られるさまざまな身体の変化は、あくまで妊娠の可能性を示すサインに過ぎません。
妊娠しているかどうかを正確に知るためには、妊娠検査薬の使用や産婦人科での診察が必要です。
期待や不安から早く結果を知りたくなりますが、正確な判定のためには適切なタイミングで検査を受けることが大切です。
ここでは、市販の検査薬を使うタイミングと、産婦人科を受診する目安について解説します。
市販の妊娠検査薬は生理予定日の1週間後から
市販されている妊娠検査薬の多くは、生理予定日の1週間後からの使用を推奨しています。
これは、検査薬が妊娠によって分泌されるhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンを尿中から検出する仕組みのためです。
このホルモンは着床して初めて分泌され、徐々に濃度が上昇していきます。
生理予定日ごろではまだ濃度が低く、正確な判定ができない可能性があります。
正しい結果を得るためにも、指定された時期まで待ってから使用することが望ましいです。
産婦人科の受診は妊娠5〜6週目が目安
妊娠検査薬で陽性反応が出たら、産婦人科を受診して正常な妊娠かどうかを確認する必要があります。
受診するタイミングとしては、最終月経開始日から数えて妊娠5週目以降、できれば胎嚢(たいのう)や心拍が確認できる可能性が高い妊娠6週目頃が目安です。
あまり早く受診しすぎると、超音波検査で子宮内に何も確認できず、後日再受診となることもあります。
焦らず適切な時期に受診することで、子宮外妊娠などの異常がないかも含めて正確な診断が受けられます。
着床完了のサインに関するよくある質問
着床完了のサインについては、医学的に未解明な部分も多く、さまざまな疑問や不安がつきものです。
妊活中の方々が特に気になる点について、よくある質問とその回答をまとめました。
これらの情報を参考に、ご自身の体調変化と向き合う際の一助としてください。
ただし、最終的な判断は医療機関で行うことが重要です。
着床出血は誰にでも起こるものですか?
いいえ、着床出血は全ての人に起こるわけではありません。
経験する人は妊娠した女性のうち4人に1人程度といわれており、全く出血がないまま妊娠する人の方が多数派です。
したがって、出血の有無が妊娠の成否に直接関係することはありません。
着床を促すために日常生活でできることはありますか?
着床率を直接的に上げる確実な方法は確立されていません。
体を温めて血行を良くし、十分な睡眠と栄養バランスの取れた食事を心がけることで、受精卵が着床しやすい子宮環境を整えることが期待できます。
ストレスを溜めずリラックスして過ごすことも大切です。
フライング検査で陽性が出たら妊娠確定ですか?
いいえ、確定ではありません。
フライング検査での陽性は、ごく初期の化学流産(生化学的妊娠)を検出している可能性もあります。
また、不妊治療でhCG注射を使用した直後は、妊娠していなくても陽性反応が出ることがあります。
正確な診断のためには、適切な時期での再検査と産婦人科の受診が必要です。
まとめ
着床完了のサインとされる体調変化は、着床出血や下腹部痛、強い眠気など多岐にわたりますが、これらは個人差が大きく、全ての人に現れるわけではありません。
また、多くの症状が月経前症候群(PMS)と似ているため、自己判断で妊娠の有無を確定することは困難です。
基礎体温の継続的な高温や、生理予定日を過ぎても続く症状は一つの目安になりますが、最も確実なのは妊娠検査薬の使用です。
生理予定日の1週間後を目安に検査を行い、陽性反応が出た場合は産婦人科を受診して、正常な妊娠であるかを確認することが重要です。







