「赤ちゃんを我が家に迎えたい」 その温かい願いを胸にご夫婦で妊活に取り組む中で、クリニックでの治療と並行して「自分自身の体質を根本から見直したい」と考える方は決して少なくありません。
特に毎日の「食事」は、私たちの体を作る最も基本的な要素です。
「妊活には食事が大切だと聞くけれど、具体的に何を食べれば良いのだろう?」 「今の食生活のままで本当に大丈夫なのだろうか?」
ゴールが見えない道のりだからこそ、日々の暮らしの中でご自身で取り組めることがあると知ることは、大きな希望に繋がるはずです。
この記事では、そんな妊娠を望む全ての女性そしてそれを支えるパートナーのために、「妊娠しやすい体づくり」の土台となる食生活の重要性と具体的な改善方法について、詳しく解説していきます。
妊活中は食事に気をつけたほうがよい?
妊活中に食生活に気を配ることは、妊娠の可能性を高める上で非常に重要であると多くの専門家が考えています。
もちろん、体質改善を行ったからといって全ての方が100%妊娠できるというわけではありません。
不妊の原因は非常に多岐にわたり、中には手術などの西洋医学的な治療が不可欠なケースも存在します。
しかし、私たちの体は毎日口にする食べ物から作られています。
それは皮膚や髪、筋肉といった体の組織だけでなく、新しい命の源となる女性の「卵子」や男性の「精子」も例外ではありません。
日々の食事が乱れ、栄養バランスが偏ってしまうと、卵子や精子の質が低下したり、あるいは女性ホルモンのバランスが崩れて排卵や月経に影響を及ぼしたりする可能性があります。
東洋医学では、妊娠はお母さんの体が新しい命を育むための豊かな「土壌」であると考えます。
栄養に満ち温かくそして血の巡りが良いふかふかの土壌にこそ、種はしっかりと根付き健やかに芽吹くことができます。
つまり、妊活中に食事に気をつけるということは、単に健康のためというだけでなく、これから訪れるであろう新しい命のために最高の「ベッド」を用意してあげるという極めて重要な意味を持っているのです。
妊活中の食事の摂り方で気をつけたいポイント
では、こうした妊娠しやすい体質へとご自身の体を導いていくためには、具体的にどのようなことを心がければ良いのでしょうか。
今日からでも始められる7つの改善方法をご紹介します。
ポイント①食事の時間を決める
毎日できるだけ決まった時間に食事を摂ることは、体内時計のリズムを整え自律神経やホルモンバランスを安定させる上で非常に重要です。
不規則な食事は体にストレスを与え、消化吸収の効率も低下させてしまいます。
朝昼晩の食事時間を一定に保つことを意識してみましょう。
ポイント②朝食は必ず摂る
忙しい朝でも、朝食を抜かずに摂る習慣をつけましょう。
朝食は睡眠中に下がった体温を上げ、一日の活動を始めるための重要なエネルギー源となります。
また、朝食を摂ることで体内時計がリセットされ、夜の自然な眠りにも繋がります。
ポイント③昼食をしっかり摂る
昼食は、午後からの活動を支える大切なエネルギー補給の機会です。
炭水化物だけでなく、肉や魚、野菜など様々な品目をバランス良く組み合わせ、栄養価の高い食事を心がけましょう。
ここでしっかりと栄養を摂っておくことが、夜の過食を防ぐことにも繋がります。
ポイント④いろいろな食材をバランス良く摂る
特定の食品に偏ることなく、できるだけ多くの種類の食材を食事に取り入れることが、栄養バランスを整えるための基本です。
「まごわやさしい(豆・ごま・わかめ・野菜・魚・しいたけ・いも)」を合言葉に、日々の献立を考えてみるのも良い方法です。
ポイント⑤しっかり噛んで食べる
よく噛んで食べることは、唾液の分泌を促し消化吸収を助けるだけでなく、脳の満腹中枢を刺激して食べ過ぎを防ぐ効果もあります。
一口ごとに30回程度噛むことを目標に、時間をかけてゆっくりと食事を味わう習慣をつけましょう。
ポイント⑥夕食は腹八分目程度を心がける
夕食は就寝中に胃腸に負担をかけないよう、腹八分目程度に抑えるのが理想です。
特に脂っこいものや消化の悪いものを夜遅くに食べると、睡眠の質を低下させる原因にもなります。
野菜やスープなど、温かく消化の良いものを中心とした献立がおすすめです。
ポイント⑦就寝前に食べないよう気をつける
就寝の直前に食事を摂ると、消化活動のために体が休まらず、睡眠の質が大きく低下してしまいます。
また消費されなかったエネルギーが体脂肪として蓄積されやすくなります。
夕食は、できるだけ就寝の3時間前までには済ませておくように心がけましょう。
妊活中に摂取したい栄養素
では妊活中に特に意識して摂取したい栄養素には、どのようなものがあるのでしょうか。
タンパク質
タンパク質は、私たちの体のあらゆる細胞を作るための最も基本的な材料です。
もちろん卵子や精子、そして女性ホルモンもタンパク質から作られています。
質の良い筋肉や血液、そして子宮内膜を育むためにも不可欠な栄養素です。
肉や魚、卵、大豆製品といった良質なタンパク質を毎食バランス良く取り入れることを心がけましょう。
ビタミンD
ビタミンDは、カルシウムの吸収を助ける骨の健康に不可欠なビタミンとして知られていますが、近年、生殖機能との深い関わりも注目されています。
ビタミンDは卵巣機能の正常化や受精卵が着床しやすい子宮内膜環境を整える上で重要な役割を果たしているといわれています。
日光を浴びることで体内でも生成されますが、食事からは魚類やきのこ類などから摂取できます。
葉酸
葉酸は、赤ちゃんの先天的な神経管閉鎖障害のリスクを低減するために、妊娠前から妊娠初期にかけての摂取が厚生労働省からも強く推奨されている極めて重要な栄養素です。
細胞分裂や造血にも深く関わっており、質の良い卵子や子宮内膜を育む上でも欠かせません。
ほうれん草やブロッコリーといった緑黄色野菜やレバー、納豆などに多く含まれますが、食事だけでの十分な摂取は難しいためサプリメントの活用も推奨されています。
鉄分
鉄分は、血液中のヘモグロビンの材料となり、全身に酸素を運ぶ重要な役割を担っています。
鉄分が不足し貧血状態になると、子宮や卵巣への血流も悪化し機能が低下してしまいます。
また、ふかふかの子宮内膜を作るためにも十分な鉄分が必要です。
特に女性は月経によって毎月鉄分を失っているため、意識的に摂取する必要があります。レバーや赤身の肉、ほうれん草、ひじきなどを積極的に食事に取り入れましょう。
亜鉛
亜鉛は、細胞分裂やホルモンの合成に不可欠なミネラルであり「セックスミネラル」とも呼ばれるほど生殖機能と深く関わっています。
女性においては、卵子の成熟や子宮内膜の正常な機能維持に重要な役割を果たします。
また、男性においても精子の生成や運動能力の向上に欠かせない栄養素です。
牡蠣やレバー、牛肉、あるいはナッツ類などに多く含まれます。
ご夫婦で一緒に摂取したい栄養素の一つです。
妊娠中に気をつけたい食べ物や飲み物
積極的に摂りたい栄養素がある一方で、妊活中は少し摂取に気をつけたい、あるいは避けた方が良い食べ物や飲み物も存在します。
体を冷やす食べ物
東洋医学において、体の「冷え」は血行不良を招き妊娠を妨げる大きな原因と考えられています。
トマトやきゅうりといった夏が旬の野菜や、バナナ、パイナップルのような南国の果物は体を冷やす性質があるため、摂りすぎには注意が必要です。
また、冷たい飲み物やアイスクリームなども直接内臓を冷やしてしまいます。
飲み物は、できるだけ常温か温かいものを選ぶように心がけましょう。
生もの
お刺身や生肉、あるいはナチュラルチーズといった加熱処理されていない生の食べ物には注意が必要です。
これらには、リステリア菌やトキソプラズマといった食中毒の原因となる細菌や原虫が潜んでいる可能性があります。
妊娠中にこれらの菌に感染すると、胎児に深刻な影響を及ぼす危険性があるため、妊活中からできるだけ避けておくのが賢明です。
大豆製品
豆腐や納豆、豆乳といった大豆製品に含まれる「大豆イソフラボン」は、女性ホルモン(エストロゲン)と似た働きをすることで知られており、適量であれば妊活の心強い味方となります。
しかしその一方で、過剰に摂取しすぎるとかえって体内のホルモンバランスを乱し、排卵を抑制してしまう可能性があることも指摘されています。
何事もバランスが大切です。
特定の食品に偏るのではなく、様々な食材から栄養を摂ることを基本としましょう。
マーガリン
マーガリンやショートニング、あるいはスナック菓子などに多く含まれる「トランス脂肪酸」は、血中の悪玉コレステロールを増やし動脈硬化のリスクを高めるなど健康への悪影響が懸念されています。
細胞膜の質を低下させ、卵子や精子の老化を早める可能性も指摘されているため、妊活中はできるだけ摂取を控えるべき油といえるでしょう。
カフェイン・アルコール
コーヒーや紅茶などに含まれるカフェインの過剰摂取は、体を冷やし血行を悪くする原因となります。
また、鉄分の吸収を妨げる作用もあります。
一日に1杯から2杯程度に留めておくのが良いでしょう。
アルコールも過剰に摂取するとホルモンバランスを乱し、卵子の質の低下を招く可能性があります。
特に妊娠判明後の飲酒は胎児に深刻な影響を及ぼすため、妊活中から禁酒あるいは節酒を心がけることが非常に重要です。
適切な食生活で妊娠しやすい体を作ろう
今回は妊娠を望むすべてのカップルのために、「妊娠しやすい体質」を目指す食生活の重要性と、その具体的な改善方法について詳しく解説しました。
最後にこの記事でお伝えした重要なポイントを改めて確認しておきましょう。
ご自身の体を内側から健やかにそして温かく育んでいくこと。それは新しい命を迎え入れるための最高の準備であり、ご自身への深い愛情表現でもあります。
ときには、ご自身の努力だけではどうにもならない体の不調や、心の疲れを感じることもあるかもしれません。
そんな時はどうか一人で抱え込まず、私たちのような専門家の力を頼ってください。
住吉鍼灸院は、皆様の体質を根本から改善し、心と体のバランスを整え妊娠しやすい健康な土台作りを力強くサポートします。