ホルモン補充周期のデメリットとは?胚移植での自然周期との違いを解説

公開日:2026/02/06 

更新日:2026/02/06

ホルモン補充周期のデメリットとは?胚移植での自然周期との違いを解説します。凍結胚移植を検討する際、ホルモン補充周期と自然周期の選択に迷う方は少なくありません。
ホルモン補充周期は計画的に治療を進められるメリットがある一方、心身への負担や医学的なリスクも指摘されています。

この記事では、ホルモン補充周期のデメリットを詳しく解説し、自然周期との違いを比較しながら、自分に合った選択をするための情報を提供します。

ホルモン補充周期とは?自然周期との基本的な違い

凍結融解胚移植を行う際、子宮内膜を胚が着床しやすい状態に整える方法として、ホルモン補充周期と自然周期があります。
ホルモン補充周期とは、薬を使って子宮内膜を厚くする方法で、計画的に移植日を決められるのが特徴です。

一方、自然周期は、自身のホルモン分泌のリズムを利用するため、より自然な形での移植を目指します。
両者の違いを理解することが、適切な選択の第一歩となります。

ホルモン補充周期:薬の力で子宮内膜を育てる移植方法

ホルモン補充周期では、月経開始後から卵胞ホルモン(エストロゲン)製剤を使用し、子宮内膜を厚く育てていきます。
この方法では、排卵を必要としないため、排卵障害がある方や排卵が不規則な方でも、子宮の状態を移植に最適な状態に調整することが可能です。

子宮内膜が十分に厚くなった段階で、黄体ホルモン製剤を追加投与し、着床しやすい環境を整えてから胚移植を実施します。
このように、薬の力で周期をコントロールするため、移植日をあらかじめ設定しやすく、スケジュール管理がしやすいという利点があります。

自然周期:自身の自然な排卵リズムに合わせる移植方法

自然周期では、薬をほとんど、あるいは全く使用せず、女性自身の月経周期に合わせて移植を行います。
月経開始後、超音波検査で卵胞の発育を定期的に確認し、主席卵胞が十分に成長して排卵が近づくタイミングを見極めます。
排卵が確認された後、胚が着床しやすい時期に合わせて移植日を決定するのが一般的な流れです。

自身のホルモン分泌を利用するため、身体への負担が少なく、より自然な状態で妊娠を目指せる点が特徴といえます。
ただし、排卵日がずれると移植のタイミングも変動するため、スケジュール調整が難しい側面もあります。

ホルモン補充周期で考えられる4つのデメリット

ホルモン補充周期は計画的に治療を進められる反面、いくつかのデメリットも存在します。
薬の継続的な使用に伴う心身への負担や、肌のかぶれといった副作用が起こる可能性があります。

また、妊娠後の合併症リスクに関する報告もあり、人によってはこの治療法が合わないと感じるかもしれません。
これらのデメリットを事前に理解し、メリットと比較検討することが重要です。

デメリット1:毎日続くホルモン剤の使用による心身への負担

ホルモン補充周期では、毎日決められた時間に内服薬や貼り薬、膣剤などを使用し続ける必要があります。
薬の飲み忘れや貼り忘れは、計画通りに子宮内膜が育たず、移植がキャンセルになる原因となり得るため、精神的なプレッシャーを感じる人もいます。
特に、仕事や家事で忙しい場合、薬の管理がストレスになることもあるでしょう。

また、ホルモン剤の影響で、頭痛や吐き気、気分の落ち込みといった体調の変化を感じることもあり、身体的な負担も無視できません。
こうした心身への負担は、治療を継続する上で大きな課題となる場合があります。

デメリット2:貼り薬による肌のかぶれや不正出血などの副作用

ホルモン補充周期で使用される薬剤には、いくつかの副作用が報告されています。
特にエストロゲン製剤の貼り薬は、貼付部位の皮膚が赤くなったり、かゆみやかぶれを引き起こしたりすることがあります。
敏感肌の人にとっては、こうした皮膚症状が大きなストレスになる可能性があります。

また、ホルモンバランスの変化により、予期せぬタイミングで不正出血が起こる場合も少なくありません。
その他にも、吐き気や頭痛、乳房の張りといった症状が現れることもあり、これらの副作用の出方には個人差が大きいため、体調の変化には注意が必要です。

デメリット3:妊娠高血圧症候群など周産期合併症のリスクが高まる可能性

近年の研究では、ホルモン補充周期での妊娠は、自然周期に比べて妊娠高血圧症候群や前置胎盤といった周産期合併症のリスクがわずかに高まる可能性が指摘されています。
これは、ホルモン補充周期では排卵に伴って形成される「黄体」が存在しないことが一因と考えられています。
黄体は妊娠初期の維持に重要なホルモンを分泌するため、その有無が胎盤の形成などに影響を与えるのではないかという見方です。

ただし、リスクの上昇はわずかであり、すべてのケースで起こるわけではありません。
医師と相談し、自身の健康状態を踏まえて慎重に判断することが求められます。

デメリット4:妊娠判定後もホルモン剤の補充が長期間必要になる

ホルモン補充周期では、自身の体から妊娠を維持するためのホルモンが分泌されないため、妊娠が成立した後も薬の使用を継続する必要があります。
具体的には、胎盤が自律的にホルモンを分泌し始める妊娠9〜10週頃まで、エストロゲン製剤や黄体ホルモン製剤を使い続けなければなりません。
この長期間にわたる薬の使用は、通院回数や薬剤費の増加につながり、経済的な負担となります。

また、つわりなどの体調が優れない時期にも薬を管理し続ける必要があり、精神的な負担を感じる人もいます。
自身のホルモン値を確認しながら、医師の指示に従って慎重に薬を減らしていく過程が不可欠です。

デメリットだけじゃない!ホルモン補充周期の大きなメリット

デメリットがある一方で、ホルモン補充周期にはそれを上回るほどの大きなメリットも存在します。
特に、移植日のスケジュールを柔軟に組める点は、多忙な方にとって魅力的です。
また、自身の卵巣機能や排卵周期に左右されずに子宮の状態を整えられるため、採卵周期で卵巣が腫れている場合でも、安定して移植に臨める利点があります。

メリット1:計画的に移植日を決定でき仕事との両立がしやすい

ホルモン補充周期の最大のメリットは、胚移植の日程を計画的に設定できる点です。
薬によって子宮内膜の状態をコントロールするため、排卵のタイミングに左右されることなく、クリニックの診療日や自身の仕事の都合に合わせて移植日をあらかじめ決めることが可能です。
これにより、重要な会議や出張などを避けてスケジュールを組むことができ、仕事と不妊治療の両立がしやすくなります。

また、移植日が事前に確定しているため、心の準備がしやすく、落ち着いて治療に臨めるという精神的な利点もあります。
突発的な通院の必要性が少ないため、遠方から通院している方にとっても負担が軽減されるでしょう。

メリット2:排卵が不安定な方でも子宮内膜を厚く調整できる

ホルモン補充周期は、自力での排卵が難しい方や月経周期が不順な方にとって、非常に有効な治療選択肢です。
自然周期では、卵胞がうまく育たなかったり、排卵のタイミングが予測できなかったりして、移植がキャンセルになるケースがあります。
しかし、ホルモン補充周期では、外部からホルモン剤を投与することで、排卵の有無にかかわらず子宮内膜を確実に厚くすることが可能です。

自身のホルモン値に左右されずに、胚の着床に最も適した状態へと子宮環境を整えられるため、移植のキャンセル率を低く抑えることができます。
これにより、安定して治療計画を進めることが可能になります。

【医師と相談】ホルモン補充周期と自然周期、どちらを選ぶべき?

ホルモン補充周期と自然周期のどちらが適しているかは、個人の体の状態やライフスタイルによって異なります。
それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、最終的には医師と相談して決定することが重要です。

このセクションでは、どのような場合にそれぞれの方法が推奨されるのか、一般的な特徴を解説し、胚移植に向けた選択の参考にしていただけます。

ホルモン補充周期が推奨される方の特徴

ホルモン補充周期は、排卵障害がある方や無排卵周期、月経不順の方に特に推奨されます。
自身の卵巣機能だけでは安定した排卵が期待できない場合でも、薬の力で計画的に子宮内膜を整えることが可能です。
また、仕事などの都合で移植日を事前に確定させたい方にも適しています。

過去の自然周期での移植で、子宮内膜が十分に厚くならなかった経験がある場合も、ホルモン補充周期が選択されることがあります。
さらに、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の方など、排卵誘発剤への反応が過剰に出やすい体質の方にも、排卵を抑制しながら移植周期をコントロールできるため、合っているといえるでしょう。

自然周期が選択肢になる方の特徴

自然周期は、月経周期が規則的で、自力での排卵が安定して起こる方に適しています。
毎月きちんと卵胞が育ち、予測通りに排卵が起こる場合、この方法を選択することが可能です。
薬の使用を最小限に抑えたい、あるいは全く使いたくないと考えている方や、ホルモン剤による副作用が心配な方にとっても、自然周期は有力な選択肢となります。

また、通院回数がホルモン補充周期に比べて少なくなる傾向があるため、身体的な負担だけでなく、時間的な制約を軽減したいと考える方にも向いています。
ただし、排卵日がずれる可能性があるため、スケジュールの柔軟な調整が求められます。

ホルモン補充周期に関するよくある質問

ホルモン補充周期による移植を検討するにあたり、多くの方がさまざまな疑問や不安を抱えています。
例えば、流産率への影響や費用面での違い、薬を忘れてしまった場合の対処法など、具体的な情報が知りたいという声は少なくありません。

ここでは、採卵後の移植方法を選択する上で、特によく寄せられる質問とその回答をまとめました。

ホルモン補充周期だと流産率は上がりますか?

ホルモン補充周期と自然周期で、流産率に大きな差はないとされています。
しかし、一部の研究では40歳以上の場合、ホルモン補充周期の方がわずかに流産率が高くなる可能性が示唆されています。
年齢や個人の健康状態によってもリスクは異なるため、医師とよく相談することが重要です。

ホルモン補充周期と自然周期では費用にどれくらい差が出ますか?

一般的に、ホルモン補充周期の方が費用は高くなる傾向があります。
これは、移植前から妊娠判定後まで長期間にわたり、内服薬や貼り薬、膣剤などの薬剤費が必要になるためです。
自然周期は薬の使用が少ない分、費用を抑えられる可能性がありますが、通院回数によって変動します。

薬の飲み忘れや貼り忘れがあった場合はどうすればいいですか?

薬の飲み忘れや貼り忘れに気づいた際は、自己判断で対処せず、速やかにクリニックへ連絡し指示を仰いでください。
特にエストロゲン製剤や黄体ホルモン剤は、血中濃度を一定に保つことが重要です。
忘れた時間や薬の種類によって対応が異なるため、必ず医師の指示に従いましょう。

まとめ

ホルモン補充周期は、計画的に胚移植を進められるという大きな利点がある一方で、薬の継続使用による心身の負担や副作用、周産期合併症のリスクといったデメリットも存在します。
一方、自然周期は身体への負担が少ないものの、スケジュール調整が難しいという側面を持ちます。

どちらの周期を選択するかは、自身の月経周期の規則性、ライフスタイル、そして治療に対する考え方によって異なります。
本記事で解説したメリットとデメリットを参考に、医師と十分に話し合い、納得のいく形で治療法を選択することが大切です。

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この記事の監修者

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藤鬼 千子

住吉鍼灸院総院長

東洋鍼灸専門学校卒業後、2011年4月に住吉鍼灸院に入社し、9年間住吉鍼灸院院長として従事。
現在は総院長として妊娠を望むすべてのご夫婦に貢献している。

《資格》

はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師、不妊カウンセラー

《経歴》

東洋鍼灸専門学校 卒業
住吉鍼灸院 院長就任
住吉鍼灸院 総院長就任

《所属》

日本不妊カウンセリング学会会員

《SNS》

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