妊娠中にサウナを利用しても良いのか、お腹の赤ちゃんへの影響はないのかと不安に思う方もいるでしょう。
特にサウナが趣味だった方にとっては気になる問題です。
この記事では、妊娠中のサウナ利用が母体と胎児に与える可能性のあるリスクや、どうしても入りたい場合の注意点、そしてサウナに代わるリラックス方法について詳しく解説します。
結論:妊娠中のサウナ利用は原則として控えましょう
結論から言うと、妊娠中のサウナ利用は、母体と胎児の双方にリスクがあるため、原則として控えるべきです。
高温の環境に長時間身を置くことで、深部体温の上昇や脱水症状、血圧の急激な変動などを引き起こす可能性があります。
これらが胎児の健康や母体の安全に悪影響を及ぼす恐れがあるため、妊娠がわかったらサウナの利用は避けるのが賢明です。
なぜサウナはだめなのか、具体的な理由を次で詳しく見ていきましょう。
妊婦がサウナに入ることで考えられる4つの主なリスク
妊娠中のサウナ利用には、具体的にどのようなリスクが潜んでいるのでしょうか。
ここでは、胎児への影響と母体への影響という二つの観点から、考えられる主な4つのリスクを解説します。
これらのリスクを正しく理解し、安全なマタニティライフを送るための判断材料にしてください。
【胎児への影響】深部体温の上昇が先天性異常につながる可能性
妊娠中のサウナ利用で最も懸念されるのが、母体の深部体温の上昇による胎児への影響です。
特に、胎児の重要な器官が形成される妊娠初期に、母体の深部体温が39℃以上になると、神経管閉鎖障害といった先天性異常のリスクが高まることが研究で示唆されています。
また、高温環境は子宮への血流を減少させ、胎児が十分な酸素や栄養を受け取れなくなる可能性も指摘されています。
最悪の場合、流産につながる危険性も否定できないため、胎児の健やかな成長のためにもサウナは避けるべきです。
【母体への影響】脱水症状が引き起こすめまいや立ちくらみ
サウナでは大量の汗をかくため、気づかないうちに脱水症状に陥りやすいです。
妊娠中は血液の量が増える一方で、血液が薄まり貧血気味になることが多く、通常時よりもめまいや立ちくらみを起こしやすくなっています。
そこに脱水が加わると、血流が悪化し、症状がさらに出やすくなります。
特につわりで水分補給が十分にできていない場合は、短時間でも危険な状態になる可能性があります。
転倒などの二次的な事故を防ぐためにも、脱水のリスクが高いサウナの利用は控えることが重要です。
【母体への影響】血圧の急激な変動による転倒の危険性
サウナ室の高温環境と水風呂などの低温環境を往復すると、血管が急激に収縮・拡張を繰り返し、血圧が大きく変動します。
妊娠中の女性の体はホルモンバランスの変化により、自律神経が乱れやすく、血圧のコントロールが不安定になりがちです。
そのため、サウナの利用は急な血圧低下による脳貧血や、逆に血圧上昇を引き起こす可能性があります。
めまいやふらつきから転倒する危険性も高まるため、妊婦さんはこのような急激な血圧変動を伴う行為を避ける必要があります。
【母体への影響】身体の温めすぎによる子宮収縮(お腹の張り)のリスク
体を温めすぎると、子宮への血流が過剰になったり、体内のホルモンバランスに影響を与えたりして、子宮収縮、つまりお腹の張りを引き起こす可能性があります。
妊娠中のお腹の張りは、切迫早産や切迫流産のサインであることもあり、注意が必要です。
特に、3人目や4人目の出産を経験している経産婦の場合、子宮が伸びやすくなっていることも考えられ、より慎重になる必要があります。
リラックスのために入ったサウナが、かえって母体と胎児を危険にさらすことになりかねません。
特に注意が必要な「妊娠初期」はサウナを避けましょう
妊娠期間の中でも、特に注意が必要なのが妊娠初期です。
この時期は、胎児の体の基礎が作られる非常にデリケートな期間であり、母体の小さな変化が胎児に大きな影響を与えてしまう可能性があります。
なぜ妊娠初期のサウナが特に危険なのか、その理由を理解し、大切な赤ちゃんを守るための行動を心がけましょう。
胎児の重要な器官が作られる妊娠初期は最もリスクが高い
妊娠初期は、胎児の脳や脊髄、心臓といった生命維持に不可欠な器官が形成される重要な時期です。この期間に母体の深部体温が著しく上昇すると、細胞分裂や器官形成のプロセスに影響を及ぼす可能性が指摘されています。神経管閉鎖障害のリスクについて言及されることもありますが、サウナ利用による一時的な体温上昇が胎児に有害なレベルに達することは稀であるという調査結果があります。
しかし、体調が不安定な妊娠中のサウナ利用は、脱水やのぼせ、転倒、感染症のリスクがあるため推奨されません。サウナの利用を検討する場合は、事前に医師に相談することが望ましいでしょう。
安定期(妊娠中期・後期)でも油断は禁物
一般的に安定期と呼ばれる妊娠中期(16週以降)に入ると、つわりが落ち着き体調が安定する方が多いため、少しなら大丈夫だろうと考えるかもしれません。
しかし、安定期であってもサウナのリスクが完全になくなるわけではありません。
中期から後期にかけては、お腹が大きくなることで体の重心が変わり、転倒しやすくなります。
また、脱水や血圧変動のリスクも依然として存在します。
妊娠高血圧症候群などの合併症がある場合は特に危険です。
安定期だからと油断せず、妊娠中期・後期を通じてサウナの利用は控えるのが安全です。
どうしてもサウナに入りたい場合に守るべき5つの注意点
これまで述べてきたように、妊娠中のサウナ利用は原則として推奨されません。
どうしても利用したい、あるいは利用せざるを得ない事情がある場合には、リスクを最小限に抑えるために細心の注意を払う必要があります。
ここでは、万が一サウナに入る際に留意すべき注意点を解説します。
主治医に必ず相談し許可を得る
妊娠中のサウナ利用を考える場合、何よりも先に、かかりつけの産婦人科医に相談し、許可を得ることが絶対条件です。
妊娠の経過は一人ひとり異なり、合併症の有無やその日の体調によってもリスクは大きく変わります。
自己判断で「少しなら大丈夫だろう」と考えるのは非常に危険です。
医師は専門的な知見から、あなたの体の状態や妊娠週数を考慮し、サウナ利用の可否を判断してくれます。
必ず診察を受け、医師の指示に従うようにしてください。
普段より温度の低いサウナを選ぶ
もし医師から許可が出た場合でも、普段利用しているような高温のドライサウナは避けましょう。
体温の急激な上昇を防ぐため、比較的温度が低いサウナを選ぶことが重要です。
例えば、室温が60℃前後の低温サウナや、湿度が高く体感温度が穏やかなミストサウナなどが選択肢として考えられます。
これらのサウナは体への負担が比較的少ないですが、それでも利用は慎重に行う必要があります。
深部体温が上がりすぎないよう、施設の温度設定を事前に確認しましょう。
5分程度の短い時間で切り上げる
サウナ室内に滞在する時間は、可能な限り短くする必要があります。
普段サウナに慣れている方でも、妊娠中は体の反応が通常とは異なるため、5分程度を目安にごく短時間で切り上げるようにしましょう。
長くても10分を超えることは絶対に避けてください。
少しでも息苦しさやのぼせ、気分の悪さを感じた場合は、設定時間内であってもすぐにサウナ室から出て、涼しい場所で休憩することが大切です。
我慢や無理は禁物です。
入る前と後に十分な水分補給を行う
サウナの利用に関しては、深部体温の上昇、脱水、血圧低下、転倒、子宮収縮、感染症などのリスクが指摘されており、特に妊娠中は利用を控えることが推奨されています。これらのリスクは水分補給だけでは完全に防ぐことが難しいため、利用は避けるのが安全です。
少しでも体調に異変を感じたらすぐに中止する
サウナの利用中に、めまいや立ちくらみ、吐き気、動悸、お腹の張りや痛みなど、少しでも普段と違う体の異変を感じたら、直ちに利用を中止してください。
これは体からの危険信号です。
我慢して入り続けると、深刻な事態につながる可能性があります。
すぐにサウナ室から出て、涼しく換気の良い場所で横になるなどして休みましょう。
もし症状が改善しない場合や、不安を感じる場合は、ためらわずに医療機関に連絡することが重要です。
サウナ以外はどう?温泉や岩盤浴なら大丈夫?
サウナが推奨されないとなると、温泉や岩盤浴ならどうなのかと考える方もいるでしょう。
同じように体を温める施設ですが、それぞれに特徴と注意点があります。
ここでは、サウナ以外の温浴施設について、妊婦さんが利用する場合の安全性と気を付けるべきポイントを解説します。
温泉:泉質と長湯に注意すればリラックス効果も
かつて温泉の禁忌症に「妊娠中」が含まれていましたが、2014年に科学的根拠が乏しいとして削除されました。
そのため、基本的に妊婦さんが温泉に入ることは問題ありません。
ただし、注意点もあります。
長湯によるのぼせや脱水、お腹が大きくなることによる転倒には十分気をつけましょう。
また、泉質によっては肌に刺激が強い場合もあります。
38〜40℃程度のぬるめのお湯に短時間浸かる程度であれば、血行が促進され、心身のリラックス効果が期待できます。
岩盤浴:サウナと同様に深部体温が上がるため避けるのが賢明
岩盤浴は、サウナよりも温度が低く、じっくりと体を温めるため安全なイメージがあるかもしれません。
体の芯から温める作用があるため、結果的にサウナと同様に深部体温を上昇させるリスクがあります。
特に、胎児の器官形成に影響を及ぼす可能性がある妊娠初期は避けるべきです。
安定期以降も、長時間利用すれば脱水やのぼせの危険性が高まります。
したがって、岩盤浴もサウナと同じく、妊娠中は避けるのが賢明な選択と言えます。
サウナの代わりに!妊婦さんにおすすめのリラックス方法3選
サウナに入れないことで、ストレス解消の機会が減ってしまったと感じる方もいるかもしれません。
しかし、妊娠中でも安全に心と体をリフレッシュする方法はたくさんあります。
ここでは、サウナの代わりとなる、マタニティライフを快適に過ごすためのおすすめリラックス方法を3つご紹介します。
38〜40℃のぬるめのお風呂で半身浴を楽しむ
自宅のお風呂をリラックス空間に変えるのも一つの方法です。
熱すぎるお湯は体温を急激に上昇させ、心臓に負担をかけるため避けましょう。
38〜40℃程度のぬるめのお湯に、みぞおちのあたりまで浸かる半身浴がおすすめです。
10〜15分程度ゆっくりと浸かることで、全身の血行が促進され、肩こりや腰痛の緩和、むくみの改善が期待できます。
好きな香りの入浴剤を使ったり、音楽を聴いたりしながら、リラックスしたバスタイムを楽しみましょう。
足湯で身体の末端からじんわり温める
お腹が大きくなってくると、全身浴が体に負担だと感じることもあります。
そんな時には、手軽にできる足湯がおすすめです。
洗面器やバケツに40〜42℃くらいのお湯を張り、10〜15分ほど足首までつけるだけで、足元からじんわりと全身が温まります。
血行が良くなることで、妊娠中によくある足の冷えやむくみの解消に効果적です。
テレビを見ながら、本を読みながらなど、好きなことをしながら手軽にできるのも魅力です。
マタニティヨガやストレッチで心身をほぐす
適度な運動は、心身のリフレッシュに非常に効果的です。
特に、妊婦さん向けにプログラムが組まれているマタニティヨガやストレッチは、体に負担をかけずに凝り固まった筋肉をほぐし、深い呼吸によって心を落ち着かせる効果があります。
運動不足の解消だけでなく、腰痛や肩こりなどのマイナートラブルの緩和、出産に向けた体力づくりや呼吸法の練習にもつながります。
専門のインストラクターがいる施設やオンラインクラスを利用すると、より安全に取り組めます。
もし妊娠中にサウナに入ってしまったらどうすればいい?
妊娠に気づかず、またはリスクを知らずにサウナを利用してしまい、不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。妊娠中のサウナ利用は、体の深部体温が急激に上昇し、脱水症状、のぼせ、立ちくらみ、転倒、血栓症、脳梗塞などのリスクがあるため、基本的には控えることが推奨されています。特に妊娠初期は胎児の重要な器官形成期にあたり、体温の過度な上昇は神経管閉鎖障害のリスクを高める可能性があります。また、妊娠中は抵抗力が低下するため、感染症のリスクも高まります。そのため、知らずに利用してしまった場合でも、今後は避けることが重要です。
ここでは、万が一妊娠中にサウナに入ってしまった場合の対応について解説します。まずは落ち着いて行動することが大切です。
過度に心配せず、まずは体調の変化を確認する
妊娠中に一度サウナに入ったからといって、必ずしも赤ちゃんに悪影響が出るわけではありません。
まずはパニックにならず、落ち着くことが第一です。
その上で、ご自身の体調に変化がないかを確認しましょう。
特に出血やお腹の張り、痛み、気分の悪さなどがないかを注意深く観察してください。
もし特に変わった様子がなければ、過度に心配しすぎる必要はありません。
不安な気持ちはかえってストレスになるため、まずは安静にして様子を見守りましょう。
不安な場合はかかりつけの産婦人科医に相談を
体調に特に変化がなくても、どうしても不安が消えない場合は、一人で抱え込まずにかかりつけの産婦人科医に相談しましょう。
その際には、「妊娠何週頃に、どのくらいの温度のサウナに、何分くらい入ったか」といった具体的な状況を伝えることが重要です。
医師は専門的な視点から状況を判断し、必要なアドバイスをくれます。
健診の際に相談するだけでも、不安が解消され、安心してマタニティライフを送ることにつながります。
妊娠中のサウナに関するよくある質問
ここでは、妊娠中のサウナ利用に関して、多くの方が疑問に思う点やよくある質問について回答します。
ご自身の状況と照らし合わせながら、参考にしてください。
妊娠に気づかず初期にサウナに入りました。胎児に影響はありますか?
一度の利用で必ずしも胎児に影響が出るわけではありません。
過度に心配せず、まずは落ち着いてください。
今後の妊婦健診をきちんと受診し、医師の診察に従うことが大切です。
もし、出血やお腹の張りなど、普段と違う体調の変化を感じた場合は、速やかにかかりつけの産婦人科に相談しましょう。
出産後はいつからサウナを利用できますか?
産後1ヶ月健診で医師から許可が出てからにしましょう。
出産後の体は大きなダメージを負っており、回復には時間が必要です。
悪露が続いている間は、公衆浴場の利用で感染症にかかるリスクもあります。
体の回復状態には個人差があるため、自己判断せず、医師の許可を得てから再開するのが安全です。
妊活中にサウナに入るのは男性・女性ともに影響がありますか?
女性の場合、妊活中のサウナが妊娠の成立に直接影響するという明確なデータはありません。
一方で、男性は注意が必要です。
精子は熱に弱く、高温環境に長時間さらされると、精子の数や運動率が低下する可能性があります。
妊活中の男性は、サウナの利用を控えるか、ごく短時間にとどめるのが望ましいです。
まとめ:赤ちゃんと自分のために妊娠中のサウナは控えよう
妊娠中のサウナ利用は、母体の深部体温の上昇による胎児への影響、脱水や血圧変動による母体へのリスクなど、様々な危険性を伴います。
特に、赤ちゃんの重要な器官が作られる妊娠初期は最も注意が必要です。
リラックスしたい気持ちは理解できますが、お腹の赤ちゃんとご自身の安全を最優先に考え、妊娠期間中のサウナ利用は原則として控えましょう。
半身浴や足湯、マタニティヨガなど、安全な方法で心と体を癒し、穏やかなマタニティライフを送ってください。










