不妊治療で用いられるクロミッドについて、一周目の妊娠率や治療の仕組みに関心を持つ方は少なくありません。
初めて排卵誘発剤を使用するにあたり、どのくらいの確率で妊娠できるのか、期待と不安が入り混じることでしょう。
この記事では、クロミッドを1周期服用した場合の統計的な妊娠率、妊娠できなかった場合の一般的な治療期間、そして事前に知っておきたい副作用やリスクについて解説します。
実際にクロミッドで妊娠した方のデータも踏まえ、治療に関する疑問を解消します。
【結論】クロミッド1周期(一周目)で妊娠する確率は約12〜20%
クロミッドを服用した1周期あたりの妊娠率は、一般的に約12〜20%と報告されています。
この数値は、タイミング法や人工授精と併用した場合のデータであり、年齢や不妊の原因によって個人差があります。
排卵誘発治療では、最初の周期が最も妊娠率が高い傾向にあるとされていますが、1周期目で必ず結果が出るとは限りません。
この確率は、自然周期での妊娠率(約20%)と同等か、やや低いと感じるかもしれませんが、排卵障害のある方にとっては排卵の機会を得られるという点で大きな意味を持ちます。
統計データはあくまで目安と捉え、過度な期待や落ち込みをせず、医師と相談しながら治療を継続することが重要です。
そもそもクロミッドとは?排卵を誘発する仕組みをわかりやすく解説
クロミッドは、排卵障害のある不妊症の治療に広く用いられる経口の排卵誘発剤です。
その主な成分であるクエン酸クロミフェンが、脳の視床下部にあるエストロゲン(卵胞ホルモン)の受容体に作用します。
これにより、脳は体内のエストロゲンが不足していると錯覚し、卵胞を育てるために必要な卵胞刺激ホルモン(FSH)と、排卵を促す黄体形成ホルモン(LH)の分泌を増加させます。
これらのホルモンの分泌が促されることで、卵巣が刺激されて卵胞が順調に発育し、結果として排卵が誘発される仕組みです。
1周期目で妊娠できなかったら?クロミッド治療の一般的な継続期間
クロミッドを1周期服用して妊娠に至らなかった場合でも、すぐに治療が終了するわけではありません。
排卵誘発治療は、複数周期にわたって試みられるのが一般的です。
最初の周期で結果が出なくても、体が薬に慣れたり、最適な排卵のタイミングを掴んだりすることで、次の周期以降に妊娠する可能性は十分にあります。
多くの医療機関では、効果や副作用の様子を見ながら、3周期から6周期程度を一つの目安として治療を継続します。
焦らずに、医師と次のステップについて話し合うことが求められます。
3〜6周期の服用で多くの人が妊娠に至る傾向
クロミッド治療は、1周期ごとの妊娠率だけでなく、継続した場合の累積妊娠率で評価されることが多くあります。
データによると、クロミッドを6周期継続して使用した場合の累積妊娠率は40〜60%に達すると報告されています。
これは、1周期目で妊娠しなかったとしても、治療を続けることで妊娠のチャンスが積み重なっていくことを示しています。
特に、排卵障害が原因の不妊の場合、最初の3〜6周期で妊娠に至るケースが多く見られます。
そのため、1回の結果に一喜一憂せず、医師が設定した治療計画に沿って、一定期間は継続して治療に取り組むことが一般的です。
6周期以上続けても妊娠しない場合は治療法の見直しを検討
クロミッドを6周期以上服用しても妊娠に至らない場合は、治療法の見直しが検討されます。
その理由として、クロミッドを長期間使用することによる副作用のリスクが挙げられます。
特に、子宮内膜が薄くなる、頸管粘液が減少するといった副作用は、かえって妊娠を妨げる要因になり得ます。
また、6周期試みても効果が見られない場合、クロミッドでは解決できない他の不妊原因(卵管の閉塞や精子の問題など)が隠れている可能性も考えられます。
そのため、より強力な排卵誘発剤である注射薬への変更や、人工授精、体外受精といった次のステップへの移行を医師から提案されることがあります。
クロミッド服用前に知っておきたい副作用とリスク
クロミッドは排卵を誘発する上で有効な薬剤ですが、いくつかの副作用やリスクも伴います。
主な副作用としては、薬の作用によって子宮内膜が薄くなったり、頸管粘液が減少したりすることで、着床や精子の進入を妨げてしまう可能性が挙げられます。
また、複数の卵胞が同時に発育しやすくなるため、双子などの多胎妊娠の確率が自然妊娠に比べて上昇します。
その他、頭痛や吐き気といった身体的な不調を感じることもあります。
これらのリスクを正しく理解し、治療中に何か異変を感じた場合は速やかに医師に相談することが求められます。
子宮内膜が薄くなり着床しにくくなる可能性
クロミッドの副作用の一つに、子宮内膜が薄くなる(菲薄化)可能性があります。
これは、クロミッドが持つ「抗エストロゲン作用」によるものです。
エストロゲンは、受精卵のベッドとなる子宮内膜を厚くする働きを担っていますが、クロミッドがその働きを一部抑制してしまうことがあります。
子宮内膜の厚さが7mm以下になると、受精卵が着床しにくい状態と判断されることが一般的です。
この副作用は特に長期間服用した場合に現れやすいため、治療中は超音波検査で定期的に内膜の厚さをチェックし、着床に適した状態であるかを確認しながら進めていきます。
頸管粘液が減少し精子が子宮に到達しにくくなる
クロミッドの抗エストロゲン作用は、子宮頸管から分泌される頸管粘液にも影響を及ぼすことがあります。
頸管粘液は、排卵期になると量が増え、精子が子宮内へスムーズに進入するのを助ける重要な役割を果たしています。
しかし、クロミッドの服用によってこの粘液の分泌量が減少したり、粘り気が強くなったりすると、精子の運動が妨げられ、子宮に到達しにくくなる可能性があります。
この副作用も、クロミッドによる治療を長期間は行わず、3〜6周期を目安にステップアップを検討する理由の一つとなっています。
多胎妊娠(双子など)の確率が数%上昇する
クロミッドは卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌を促すため、一度に複数の卵胞が発育し、排卵することがあります。
その結果、複数の卵子が受精し、多胎妊娠に至る可能性があります。
自然妊娠における多胎の頻度は約1%ですが、クロミッドを使用した周期では、その確率が約5%程度まで上昇すると報告されています。
多胎妊娠は、単胎妊娠に比べて妊娠高血圧症候群や早産などのリスクが高まるため、治療を開始する前に医師から十分な説明を受け、その可能性について理解しておく必要があります。
超音波検査で複数の卵胞が育っている場合は、その周期の治療方針について医師と相談することもあります。
頭痛や吐き気などの身体的な不調が起こることがある
クロミッドの服用中は、ホルモンバランスの変化により、頭痛、吐き気、めまい、ほてり、下腹部の張りといった身体的な不調が現れることがあります。
これらの症状の多くは軽度で、服用期間中の一時的なものである場合がほとんどです。
しかし、まれに「卵巣過剰刺激症候群(OHSS)」という、卵巣が過度に腫れて腹水が溜まるなどの重い副作用が起こる可能性もあります。
また、目がかすむ、光がチカチカ見えるといった視覚症状が出た場合は、すぐに服用を中止して医師に連絡しなければなりません。
副作用がつらい場合は我慢せず、医師や薬剤師に相談してください。
クロミッド服用中の正しい飲み方とタイミング法
クロミッドの効果を最大限に引き出すためには、医師の指示に従って正しく服用することが不可欠です。
一般的には月経周期の早い段階から服用を開始し、5日間継続します。
服用期間や量は個人の状態によって調整されるため、自己判断での変更は避けるべきです。
また、薬で排卵を促すだけでなく、超音波検査で卵胞の育ち具合を確認し、最適なタイミングで性交渉を持つ「タイミング法」を併用することで、妊娠の可能性を高めることができます。
飲み忘れた場合の対処法なども含め、正しい知識を持って治療に臨みましょう。
一般的には生理開始3〜5日目から5日間服用する
クロミッドの最も標準的な服用方法は、月経が始まった日を1日目として、3日目から5日目のいずれかの日から服用を開始し、それを5日間連続で続けるというものです。
例えば、生理3日目から飲み始めた場合は、7日目まで毎日服用します。
1日に服用する量は、通常1錠(50mg)から始まり、効果が見られない場合は2錠、3錠と増量されることがあります。
どの日にちから何錠服用するかは、年齢や卵巣機能、過去の治療歴などを考慮して医師が判断します。
必ず処方された用法・用量を守り、自己判断で服用を中止したり、量を変更したりしないようにしてください。
飲み忘れた場合は気づいた時点ですぐに1回分を服用する
クロミッドを毎日決まった時間に服用することが望ましいですが、万が一飲み忘れてしまった場合は、気づいた時点ですぐに忘れた1回分を服用してください。
そして、次の服用は予定通りの時間に行います。
ただし、次に飲む時間が迫っている場合(例えば、夜に飲む薬を翌朝に思い出したなど)は、忘れた分は飲まずに、次の分から通常通りに服用します。
この際、2回分を一度にまとめて服用することは絶対に避けてください。
飲み忘れが治療効果にどう影響するか不安な場合や、対処法に迷った場合は、速やかに処方された医療機関や薬局に問い合わせましょう。
クロミッドに関するよくある質問
クロミッドを用いた不妊治療を始めるにあたり、多くの方がさまざまな疑問や不安を抱えています。
例えば、「薬を飲めば排卵が期待できるのか」「流産のリスクは上がらないのか」といった妊娠への直接的な影響や、「薬が効かなかったらどうなるのか」といった今後の治療方針に関する質問が寄せられます。
ここでは、クロミッド治療に関して特によく聞かれる質問をピックアップし、それぞれ簡潔に回答します。
治療への理解を深め、安心して次のステップに進むための参考にしてください。
Q1. クロミッドを飲めば必ず排卵しますか?
必ずしも全員が排卵するわけではありません。
クロミッドを服用した方の約70〜80%で排卵がみられると報告されていますが、効果には個人差があります。
特に、重度の多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の方など、体質によってはクロミッドが効きにくい「クロミッド抵抗性」の場合もあります。
Q2. クロミッドで妊娠した場合、流産率は上がりますか?
クロミッドの服用によって流産率がやや高くなる可能性が指摘されています。不妊治療を受ける方の年齢層が比較的高いため、年齢に伴う自然な流産率と同程度とする見解もありますが、クロミッドの使用により多胎妊娠の可能性が高まり、その結果流産率が上がることも考えられます。 また、排卵誘発剤の使用が染色体異常の発生率を上げ、流産につながる可能性も指摘されています。
ただし、副作用で子宮内膜が薄くなった場合は、着床環境に影響する可能性が指摘されています。
Q3. クロミッドを飲んでも卵胞が育たない場合はどうなりますか?
まずはクロミッドの投与量を増量して、卵胞の反応を見ることが一般的です。
それでも卵胞が育たない「クロミッド抵抗性」と判断された場合は、他の薬剤を併用したり、より強力な排卵誘発効果のある注射薬(hMG-hCG療法)に切り替えたりするなど、治療方針の見直しを検討します。
まとめ
クロミッドを1周期服用した場合の妊娠率は約12〜20%であり、治療を3〜6周期継続した場合の累積妊娠率は40〜60%と報告されています。
1周期目で結果が出なくても、継続することで妊娠の可能性は高まります。
一方で、子宮内膜が薄くなる、多胎妊娠の確率が上昇するなどの副作用やリスクも存在します。
6周期を超えても妊娠に至らない場合は、他の不妊原因も視野に入れ、注射薬への変更や体外受精など、次の治療法へのステップアップが検討されます。
治療中は医師の指示に従い、不安な点は相談しながら進めることが求められます。









