寝る時の腹巻は逆効果?よくないと言われる理由と本当の効果を解説

公開日:2025/12/05 

更新日:2025/12/05

目次

 

寝る時に腹巻を使うと体に悪い、という話を聞いたことがあるかもしれません。
確かに、選び方や使い方を間違えると、血行不良や寝冷えといった逆効果を招く可能性があります。

しかし、腹巻きをして寝ることは、正しく活用すれば睡眠の質の向上や冷えの改善など、多くのメリットをもたらします。
この記事では、腹巻がよくないと言われる理由と、本当の効果、そして快適に使うための選び方や注意点を詳しく解説します。

なぜ?寝る時の腹巻が「よくない」と言われる3つの理由

体を温めるのに役立つ腹巻ですが、就寝中に使う際にはいくつかの注意点が存在します。
特に、サイズや素材の選び方、あるいは使い方を誤ると、健康をサポートするどころか、かえって体に負担をかけてしまう場合があります。

ここでは、寝る時の腹巻が「よくない」と言われる背景にある、主な3つの理由について具体的に見ていきます。

理由1:締め付けによる血行不良の恐れ

体にフィットしすぎる腹巻や、サイズが合っていないものを着用して寝ると、腹部を過度に圧迫してしまいます。
この締め付けが血流やリンパの流れを妨げる原因となり、体を温める目的とは裏腹に、かえって末端の冷えを悪化させることがあります。
また、体への圧迫感はリラックスを妨げ、睡眠の質を低下させる要因にもなり得ます。

寝返りが打ちにくくなることで、睡眠中に体に余計な負担がかかる可能性も否定できません。
就寝時に腹巻を使用する際は、体を締め付けない、ゆったりとした着け心地のものを選ぶことが重要です。

理由2:汗による寝冷えや肌トラブルの原因に

人は睡眠中にコップ一杯分もの汗をかくと言われており、腹巻を着用しているとお腹周りが蒸れやすくなります。
特に夏場や、保温性が高すぎる化学繊維の腹巻を使っている場合、かいた汗が冷えることで「寝冷え」を起こし、体を温めるどころか冷やしてしまう結果を招きます。

また、汗で湿った状態が長時間続くと、雑菌が繁殖しやすくなり、あせもやかゆみ、かぶれなどの肌トラブルを引き起こす原因にもなりかねません。
睡眠中に使用する腹巻は、汗を素早く吸収し、発散させる機能を持つ、通気性と吸湿性に優れた素材を選ぶ必要があります。

理由3:体の自然な体温調節機能を妨げる可能性

人の体には、外部の温度変化に対応して体温を一定に保つための自然な調節機能が備わっています。
しかし、腹巻によって常にお腹が温められている状態が続くと、体が外部からの保温に依存してしまい、自ら熱を産生する力が弱まる可能性が指摘されています。

特に、毎日欠かさず腹巻を使用することで、かえって冷えを感じやすい体質になってしまうことも考えられます。
腹巻はあくまで体を温める補助的なアイテムと捉え、本当に寒い日や体が冷えていると感じる時に限定して使うなど、頼りすぎない姿勢が求められます。

実はメリットも!寝る時に腹巻を着ける本当の効果

寝る時の腹巻には注意すべき点もありますが、自分の体質や状況に合わせて正しく使えば、睡眠や健康に良い影響をもたらす多くのメリットがあります。
お腹を的確に温めることは、体全体のコンディションを整えることにつながります。

ここでは、寝る時に腹巻を着用することで得られる具体的な効果について、詳しく解説していきます。

効果1:お腹を温めてリラックス!深い眠りをサポートする

お腹周りには多くの自律神経が集中しており、この部分を温めることで副交感神経が優位に働きやすくなります。
副交感神経が活発になると、心と体がリラックスした状態になり、自然な眠りへと誘導されます。

また、人は体の中心部の温度である「深部体温」が低下する過程で眠気を感じます。
寝るときにお腹を温めると、手足の末梢血管が拡張して熱が効率的に放出され、深部体温がスムーズに下がるのを助けます。
これにより、夜、寝つきが良くなるだけでなく、質の高い深い眠りを得やすくなるのです。

効果2:つらい冷えからくる体の不調を和らげる

体の冷えは万病のもとと言われるように、肩こり、腰痛、頭痛など、さまざまな不調の引き金になります。
特にお腹が冷えると、胃腸をはじめとする内臓の働きが鈍くなり、消化不良や便秘、下痢などを起こしやすくなります。

腹巻でお腹を直接温めることで、内臓周辺の血行が促進され、これらの消化器系の不調の緩和が期待されます。
さらに、お腹を中心に体が温まることで全身の血流が改善し、筋肉の緊張がほぐれるため、冷えが原因で生じる慢性的な肩こりや腰痛の軽減にもつながります。

効果3:内臓の冷えを防ぎ、基礎代謝の維持を助ける

内臓の温度は、生命活動を維持するために最低限必要なエネルギーである基礎代謝と密接に関係しています。
一般的に、内臓の温度が1℃低下すると、基礎代謝は10%以上も低下すると言われており、エネルギーが消費されにくく、痩せにくい体質につながります。

腹巻でお腹を温めて内臓を冷えから守ることは、内臓機能を活発な状態に保ち、基礎代謝の低下を防ぐ上で役立ちます。
これが直接的なダイエットにつながるわけではありませんが、エネルギーを消費しやすい体を維持するための基礎作りをサポートします。

就寝時も快適!失敗しない腹巻選びの4つのポイント

腹巻の効果を最大限に引き出し、快適な睡眠を得るためには、自分の体に合った製品を選ぶことが何よりも重要です。
デザインや価格だけで選ぶのではなく、素材やサイズ、形状といった機能面をしっかりと考慮することで、睡眠を妨げることなく体を効果的に温められます。

ここでは、就寝時に使うのにおすすめの腹巻を選ぶための、4つの具体的なポイントを紹介します。

ポイント1:締め付け感のない、ゆったりしたサイズを選ぶ

睡眠中に使用する腹巻で最も重視すべき点は、締め付けのなさです。
体にぴったりとフィットしすぎるサイズは、血行やリンパの流れを妨げ、リラックスを阻害する原因となります。
購入する際は、自分のウエストサイズを基準に、少し余裕のあるものや、伸縮性に優れた素材でできているものを選ぶと良いでしょう。

可能であれば試着をして、圧迫感がないか、体を動かしたり寝返りを打ったりする動作を妨げないかを確認することが理想的です。
苦しさを感じさせない、ふんわりと体を包み込むような着用感のものを選びましょう。

ポイント2:肌に優しく吸湿性の高い天然素材(シルク・綿など)を選ぶ

睡眠中の汗による蒸れや寝冷えを防ぐためには、素材選びが鍵を握ります。
シルクや綿(コットン)、ウールなどの天然素材は、吸湿性と放湿性に優れているため、汗をかいても肌面をサラッとした状態に保ちやすい特徴があります。

特にシルクは、人の肌に近いアミノ酸で構成されているため肌への刺激が少なく、保湿性も高いため乾燥が気になる季節にも適しています。
化学繊維は保温性が高い反面、蒸れやすく肌トラブルの原因となる場合もあるため、肌が敏感な場合は天然素材の製品を選ぶことを推奨します。

ポイント3:寝返りを妨げない筒形やロングタイプを選ぶ

睡眠の質を維持するためには、腹巻の形状も重要な選択基準です。
マジックテープで固定するタイプや、ポケットが付いているような厚手のものは、寝返りを打った際に体に当たって違和感を覚え、眠りを妨げる可能性があります。
就寝時には、縫い目が少なく体に自然にフィットする、シンプルな筒形のものが最適です。

また、お腹だけでなく腰やお尻まで覆うことができるロングタイプの腹巻は、寝ている間にめくれ上がりにくく、より広範囲を保温できるため便利です。
パジャマの下に着てもごわつかない薄手のものが良いでしょう。

ポイント4:季節や体調に合わせて保温性を調整する

一年を通して同じ腹巻を使い続けるのではなく、季節やその日の体調に応じて最適なものを選ぶことが大切です。
夏場やもともと暑がりな人は、通気性に優れた綿やシルクの薄手の腹巻を選ぶと、汗をかいても蒸れにくく快適に過ごせます。

逆に、冬の寒い時期や特に体が冷えていると感じる日には、ウールやカシミヤ、裏起毛素材といった保温性の高いものを選ぶと、しっかりと体を温めることが可能です。
複数の種類の腹巻を揃えておき、気温や体のコンディションに合わせて使い分けることで、常に快適な状態を保てます。

効果を半減させない!寝る時に腹巻を使う際の注意点

自分に合った腹巻を選んだとしても、その使い方を誤ってしまうと期待した効果が得られないばかりか、かえって不調を招くこともあります。

腹巻のメリットを最大限に享受し、デメリットを回避するためには、いくつかの注意点を守ることが必要です。
ここでは、寝る時に腹巻をより効果的かつ安全に使うための重要なポイントを解説します。

汗をかいたらそのままにせず、着替えるようにする

寝ている間には、自分でも気づかないうちに多くの汗をかいていることがあります。
腹巻やパジャマが汗で湿った状態のまま着続けていると、水分が蒸発する際に体の熱を奪い、「寝冷え」を引き起こしてしまいます。
これは、体を温めるという腹巻本来の目的とは全く逆の結果です。

もし、夜中に暑さや不快感で目が覚めた場合や、朝起きた時に衣類が湿っていると感じた場合は、面倒がらずに乾いたものに着替えるべきです。
特に体調が万全でない時は、寝冷えが症状の悪化につながることもあるため、より一層の注意が必要です。

毎日ではなく、体が冷えていると感じる時に着用する

腹巻による保温は非常に快適ですが、毎日欠かさず着用し続けることには慎重になるべきです。
体が常に外部からの保温に頼る状態に慣れてしまうと、自ら熱を生み出す力が低下し、本来持っている体温調節機能がうまく働かなくなる可能性が考えられます。

その結果、腹巻がないとすぐに体が冷えてしまうといった、依存的な状態に陥ることもあり得ます。
腹巻はあくまで冷え対策の補助的なアイテムと位置づけ、特に体が冷えていると感じる日や、気温が低い夜など、本当に必要な場面で活用するのが賢明です。

腹巻だけに頼らず、食生活や運動習慣も見直す

腹巻は冷えによる不快な症状を一時的に和らげるのには有効ですが、冷えやすい体質そのものを根本的に解決するものではありません。
慢性的な冷えを改善するためには、生活習慣全体を見直すことが不可欠です。
体を温める作用のある食材(ショウガ、ニンニク、根菜類など)を食事に取り入れたり、冷たい飲食物を控えたりする工夫が求められます。

また、ウォーキングやストレッチといった適度な運動を日常的に行うことで、筋肉量を増やして血行を促進し、熱を生み出しやすい体を作ることができます。

こんな人には特におすすめ!就寝時の腹巻で冷え対策

腹巻は多くの人の冷え対策として有効ですが、中でも特にその恩恵を受けやすい特定の悩みを抱えている人がいます。
自分の体の状態や悩みに合わせて腹巻を上手に活用することで、より効果的に睡眠の質や日中の体調を改善することが期待できます。

ここでは、就寝時の腹巻の使用が特に推奨される人の特徴を、3つのタイプに分けて紹介します。

手足の末端が冷たくてなかなか寝付けない人

布団に入っても手足が氷のように冷たく、温まるまでに時間がかかって寝付けないという悩みは、冷え性の代表的な症状です。
この末端の冷えは、体の中心部が冷えているため、生命維持に重要な臓器が集まる体幹へ血液を優先的に集めようとする体の防御反応が原因の一つと考えられています。

腹巻でお腹周りを温めることで体の中心部が安定して温まり、全身の血行が促進されます。
その結果、これまで滞りがちだった手足の末端まで温かい血液が循環しやすくなり、つらい冷えが和らぎます。

お腹が冷えやすく、体調を崩しがちな人

お腹は脂肪が少なく、内臓が集中しているため、外部の温度変化の影響を受けやすく冷えやすい部位です。
お腹が冷えると胃腸の働きが鈍くなり、消化不良や下痢、便秘といった不調を引き起こす原因になります。

また、腸には体全体の免疫細胞の約7割が集まっていると言われており、腸内環境の悪化は免疫力の低下に直結します。
腹巻でお腹を温めることは、内臓の冷えを防いで正常な働きを保ち、免疫機能をサポートすることにつながるため、お腹の不調から体調を崩しやすい人には特に有効です。

生理中のつらいお腹の冷えに悩んでいる人

生理中はホルモンバランスの変化により血行が悪くなりやすく、体が冷えやすい状態にあります。
特にお腹や腰回りの冷えは、骨盤内の血流をさらに滞らせ、子宮の過度な収縮を引き起こして生理痛を悪化させる一因となります。

腹巻で腹部や仙骨周辺を優しく温めることで、血行が促進されて筋肉の緊張が和らぎ、つらい痛みの軽減が期待できます。
また、お腹の冷えは禁物とされる妊婦にとっても、締め付けの少ないマタニティ用の腹巻は、大きなお腹を優しく保護し、冷えから守るための心強いアイテムとなります。

腹巻が苦手な人へ。お腹を温めるその他の方法

腹巻がお腹周りを温めるのに効果的だと分かっていても、着用時の締め付け感や蒸れが気になって使えないという人もいるでしょう。
しかし、腹巻以外にも就寝中にお腹や体全体を効果的に温める方法はあります。

ここでは、腹巻を使わずに冷え対策ができる、手軽で快適な3つの代替案を紹介します。
自分に合った方法を見つけて、温かい睡眠環境を整えましょう。

湯たんぽや電気あんかで足元から温める

体を効率的に温めるには、大きな血管が通っている足元を温めるのが有効です。
温められた血液が全身を巡ることで、体全体がポカポカと温まります。
昔ながらの湯たんぽは、お湯を入れる手間はかかりますが、じんわりとした自然な温かさが持続し、空気を乾燥させないという利点があります。

一方、電気あんかや電気毛布は手軽に温度を調節できて便利ですが、低温やけどや脱水症状のリスクも伴います。
就寝前に布団を温めておき、寝る時にはスイッチを切るか、タイマーを設定して使用すると安全です。

就寝前にカフェインの入っていない温かい飲み物を飲む

体の内側から温める手軽な方法として、就寝前に温かい飲み物を飲む習慣を取り入れるのも良いでしょう。
ただし、飲み物の種類には注意が必要です。
コーヒーや緑茶、紅茶などに含まれるカフェインには覚醒作用があるため、かえって睡眠の質を下げてしまう可能性があります。
就寝前には、白湯や麦茶、カモミールなどのハーブティー、ホットミルクといったカフェインを含まない飲み物が適しています。

体を温める効果のあるショウガをすりおろして加えたジンジャーティーなども、リラックス効果とともに入眠を促します。

パジャマを保温性・吸湿性の高い素材に見直す

睡眠中に直接肌に触れるパジャマの素材を見直すことは、非常に重要な冷え対策となります。
腹巻と同様に、汗をしっかり吸収しつつ、体の熱を逃がしすぎない保温性を兼ね備えた素材を選ぶことがポイントです。
冬場であれば、肌触りが柔らかく温かい綿ネル(フランネル)や、軽くて保温性の高いフリース、キルティング素材などが良いでしょう。

お腹周りが二重構造になっているパジャマや、腹巻とズボンが一体化したタイプも市販されており、腹巻の着用感が苦手な人でも手軽にお腹を冷えから守れます。

まとめ

寝る時に使う腹巻きは、締め付けの強いものや通気性の悪い素材を選ぶと、血行不良や汗による寝冷えの原因となり「よくない」と言われることがあります。
しかし、自分の体に合ったサイズや肌に優しい素材のものを選び、体が冷えている時だけ使用するなど、正しく活用すれば多くのメリットをもたらします。

お腹を効果的に温めることで心身がリラックスし、深い眠りをサポートするほか、冷えからくる様々な体の不調を和らげる助けとなります。
ただし、腹巻きだけに頼るのではなく、食生活や運動習慣の見直しといった根本的な冷え対策も同時に行うことが重要です。

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この記事の監修者

監修者の写真

藤鬼 千子

住吉鍼灸院総院長

東洋鍼灸専門学校卒業後、2011年4月に住吉鍼灸院に入社し、9年間住吉鍼灸院院長として従事。
現在は総院長として妊娠を望むすべてのご夫婦に貢献している。

《資格》

はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師、不妊カウンセラー

《経歴》

東洋鍼灸専門学校 卒業
住吉鍼灸院 院長就任
住吉鍼灸院 総院長就任

《所属》

日本不妊カウンセリング学会会員

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