流産後の生理はいつ来る?生理不順や無排卵の原因と次の妊娠までの期間

公開日:2025/12/03 

更新日:2025/12/03

 

流産を経験した後は、心身ともに不安定になりがちです。
特に、次の生理はいつ来るのか、生理不順や無排卵になっていないかといった体の変化に不安を感じる方は少なくありません。
また、次の妊娠に向けた期間の過ごし方についても、いつから妊活を再開すべきか悩むこともあるでしょう。

この記事では、流産後の生理がいつ再開するのか、体に起こりうる変化やその原因、そして次の妊娠までの期間について解説します。

流産後の最初の生理はいつ頃?再開までの平均的な期間

流産後の生理がいつ再開するかは個人差が大きいですが、一般的には流産手術または自然排出があった日から約1ヶ月から2ヶ月後にくることが多いです。
最短の場合、3週間ほどで生理がきたというケースもあります。
体の回復には時間がかかるため、2ヶ月程度は様子を見ることが一般的です。

もし3ヶ月以上たっても生理が再開しない場合は、医療機関への相談を検討してください。
いつ来たかという記録は、今後の体調管理にも役立ちます。

流産後の生理でみられる変化|経血の量や周期について

流産を経験した後の生理では、経血の量や周期に一時的な変化が見られることが少なくありません。
ホルモンバランスがまだ安定していないため、1回目や2回目の生理の出血量が普段と違ったり、生理の量や色がおかしいと感じたりすることもあります。

流産後の生理量がおかしい、何か変だと感じても、多くは体が元の状態に戻る過程で起こるものです。
しかし、あまりにも変化が大きい場合や不調が続く場合は注意が必要です。

経血の量が普段より少ない場合の原因

流産後の生理で経血の量が少ない、あるいは少量の出血ですぐに終わってしまう原因として、子宮内膜が十分に回復していない可能性が考えられます。
流産手術で子宮内膜を掻き出す処置(掻爬術)を行った場合、内膜が薄くなり、回復に時間がかかることがあります。

ホルモンバランスがまだ整っておらず、子宮内膜が十分に厚くならないまま生理が始まると、経血量が少ない、色が薄いといった状態になります。
一時的なものであることが多いですが、不正出血との区別がつきにくい場合や、量が少ない状態が続く場合は医師に相談しましょう。

経血の量が普段より多い場合の原因

経血の量が多い場合、子宮内に胎盤などの組織がわずかに残っている可能性(遺残絨毛)が考えられます。
残った組織が子宮の収縮を妨げ、出血が大量になったり長引くことがあります。

また、ホルモンバランスの乱れによって子宮内膜が過剰に厚くなり、剥がれ落ちる際に量が多くなることも原因の一つです。
出血が長く続く、レバー状の大きな塊が出る、めまいや立ちくらみといった貧血の症状がある場合は、早めに婦人科を受診することが必要です。

生理が予定よりも早く来たときの理由

流産後、1週間や2週間といった早いタイミングで出血が見られることがあります。
これは厳密には生理ではなく、流産手術や自然排出に伴う出血、あるいは子宮が収縮する過程で起こる出血(悪露)の可能性が高いです。
ホルモンバランスが完全に整う前に、排卵を伴わない出血が起こることもあり、これを生理と勘違いしてしまうケースもあります。

体の回復過程で一時的に生理周期が短い状態になることも考えられますが、出血が続く場合は医師に相談してください。

生理周期が乱れる「生理不順」が起こることも

流産後は、妊娠によって変化したホルモンバランスが元に戻ろうとする過程にあるため、生理周期が乱れることは珍しくありません。
排卵機能が一時的に低下し、周期が不安定になることで、予定通りに生理が来なかったり、逆に短くなったりします。

通常は2〜3周期かけて徐々に元の安定した周期に戻っていきますが、心身のストレスも周期が安定しない要因となります。
体が妊娠前の状態にリセットされるまで、周期が乱れるのは自然な経過の一つです。

流産後に生理不順や無排卵が起こる主な原因

流産後に生理不順や生理のような出血はあっても排卵が起こっていない無排卵月経が起こることがあります。
これは稽留流産で手術をしたり自然排出を待ったりした場合や妊娠6週といった初期の流産であっても体が妊娠状態から非妊娠状態へと急激に変化することに起因します。

体が元のリズムを取り戻す過程で排卵のメカニズムが一時的に乱れてしまうことが主な原因です。

ホルモンバランスの急激な変化

妊娠を維持するために分泌されていたhCGホルモンや女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)は、流産によって急激に減少します。
このホルモンバランスの大きな変動に脳の司令塔である視床下部や下垂体がすぐに対応できず、排卵を促す指令がうまく機能しなくなることがあります。

その結果、排卵が遅れたり、排卵が起こらない無排卵周期になったりします。
基礎体温を計測していると、低温期が長く続いたり、高温期がはっきりしなかったりといった変化として現れることもあります。

心身のストレスによる影響

流産という経験は、身体的な負担だけでなく、計り知れないほどの精神的なストレスをもたらします。
悲しみや喪失感といった強いストレスは、自律神経の働きを乱し、ホルモン分泌をコントロールしている脳の視床下部に直接影響を与えます。

これにより、排卵のメカニズムが乱れ、生理不順を引き起こす一因となります。
また、ストレスは血行不良を招き、生理痛や下腹部痛、腹痛といった痛みを悪化させることもあります。
体の回復には、心のケアも非常に重要です。

子宮内の状態が回復していない可能性

流産手術や自然排出後、子宮内膜が完全に元の状態に戻るには一定の期間が必要です。
特に掻爬手術を行った場合、子宮内膜が薄くなることがあり、回復に時間がかかるケースがあります。

また、まれに子宮内に胎盤の一部などが残ってしまったり、炎症や癒着が起こったりすると、正常な生理周期の妨げとなる場合があります。
子宮の状態が整っていなければ、生理が遅れたり、経血量が極端に少なかったりといった不順につながるため、術後の経過観察は重要です。

新たな妊娠の可能性も考えられる

流産後の生理がなかなか来ない、こないと思っていたら、次の妊娠が成立している可能性もゼロではありません。
排卵は、流産後の最初の生理が来る前に起こるため、体の回復状態によっては、生理を待たずに妊娠することがあります。

妊娠初期にみられる眠気や体のだるさといった症状は、生理前の不調と似ているため気づきにくいかもしれません。
予定日を過ぎても生理が来ない場合は、妊娠検査薬を使用するか、医療機関で相談することを検討します。
ただし、流産後の体内に妊娠ホルモン(hCG)が残っていると、妊娠していなくても陽性反応が出ることがあります。

流産後の妊活はいつから?次の妊娠までの過ごし方

流産を経験したあと、次の妊娠に向けた妊活をいつから始めるべきか、そのタイミングについて悩む方は多いでしょう。
生理を待たずに妊娠することへの不安や、まずは心と体をしっかり休めたいという気持ちの間で揺れ動くかもしれません。

焦る必要はなく、ご自身の心身の状態に合わせて、次の妊娠までの過ごし方を考えることが大切です。
医学的な観点からの推奨タイミングや注意点を解説します。

医師が推奨する妊活再開のタイミング

多くの医療機関では、流産後の妊活再開のタイミングとして、生理を1回から2回見送った後を推奨する傾向にあります。
生理が再開したということは、子宮内膜が一度きれいに剥がれ落ち、体が妊娠可能な状態にリセットされた一つの目安となるからです。

また、生理周期が安定することで排卵日が予測しやすくなり、妊娠した場合の週数計算や出産予定日の算出が正確に行えるという利点もあります。
最終的には、体の回復状態や心の準備に合わせて、医師と相談しながら決めることが最も重要です。

流産後すぐに妊娠した場合のリスク

流産後すぐに妊娠すると、子宮が十分に回復していないために再び流産するリスクが高まるのではないかと心配されることがあります。
しかし、近年の研究では、流産から3ヶ月以内に妊娠した場合でも、それ以降の妊娠と比較して流産やその他の周産期合併症のリスクが上昇するという明確なエビデンスはないとされています。

むしろ、早く妊娠した方が成功率が高いという報告さえあります。
ただし、母体の回復を待つという意味で、少なくとも一度生理を見送ることが心身の負担を軽減する上で望ましいと考える専門家もいます。

性行為はいつから再開できるのか

流産後の性行為は、感染症予防の観点から、再開時期に注意が必要です。
流産手術後や自然排出後は、子宮の入り口である子宮頸管が開いている状態が続くため、細菌が侵入しやすく、子宮内感染を起こすリスクがあります。

そのため、医師からは通常、術後1〜2週間後の診察で子宮の状態が回復していることを確認できるまで、性行為は控えるように指導されます。
出血が完全に止まっていること、そして医師の許可が出ていることが再開の目安です。
体の回復はもちろん、精神的な準備が整うのを待つことも大切です。

生理が来ない・不順が続く場合に試したいセルフケア

流産後に生理がなかなか再開しなかったり、周期の乱れが続いたりすると不安が大きくなるかもしれません。
医療機関でホルモン剤などの薬を処方してもらうことも選択肢の一つですが、まずは日々の生活の中でできるセルフケアを取り入れることで、体のリズムが整うこともあります。

心と体のバランスを整えるための生活習慣の見直しは、回復を穏やかにサポートします。

基礎体温を記録して体のリズムを把握する

基礎体温を毎朝記録することは、自分の体の状態を客観的に知るための有効な手段です。
体温の変化をグラフにすることで、排卵がきちんと起こっているか、女性ホルモンが正常に働いているかなどを推測できます。

正常な排卵があれば、低温期と高温期の二相性を示しますが、グラフが不規則であったり、高温期が短かったりする場合は、無排卵や黄体機能不全の可能性が考えられます。
この基礎体温の記録は、婦人科を受診した際に、医師が診断を下すための重要な情報源にもなります。

バランスの取れた食事と十分な睡眠を心がける

体の回復とホルモンバランスの安定には、栄養バランスの整った食事が不可欠です。
特に、良質なたんぱく質、鉄分、ビタミン、ミネラルなどを意識して摂取しましょう。
体を冷やす食事は避け、温かいスープや飲み物で血行を促進することも大切です。

また、睡眠は心身の疲労を回復させ、自律神経やホルモンバランスを整えるために極めて重要です。
夜更かしは避け、毎日決まった時間に就寝・起床するよう心がけ、質の高い睡眠を確保することが、健やかな体を取り戻すための基本となります。

ストレスを溜めずリラックスして過ごす

流産という経験による精神的なストレスは、ホルモンバランスを乱す大きな要因です。
悲しい気持ちや不安を無理に抑え込まず、信頼できる人に話を聞いてもらったり、自分の感情を認めたりすることも回復のプロセスの一部です。

ヨガや瞑想、軽いウォーキング、好きな音楽を聴く、アロマを焚くなど、自分が心からリラックスできる時間を作りましょう。
焦りやプレッシャーを感じすぎず、まずは自分自身の心と体をいたわることを最優先に考え、穏やかな気持ちで過ごすことが回復への近道です。

こんな症状は要注意!病院を受診すべきケース

流産後の体の変化には個人差がありますが、中には医療機関の受診が必要なケースもあります。
特に、流産から3ヶ月以上経過しても一度も生理が来ない場合(続発性無月経)は、ホルモン異常や子宮の問題が隠れている可能性があるため、検査が必要です。

また、出血がダラダラと2週間以上続く、日常生活に支障をきたすほどの大量出血がある、レバーのような大きな血の塊が何度も出る、激しい腹痛や発熱を伴うといった症状は、子宮内の感染や残留物のサインかもしれません。
不安な症状があれば自己判断せずに、速やかに産婦人科を受診してください。

まとめ

流産後の生理再開は、多くの場合1ヶ月から2ヶ月後ですが、その時期や経血の量、周期は個人差が大きいのが実情です。
ホルモンバランスの乱れや精神的なストレスから、一時的に生理不順や無排卵に陥ることもあります。
多くの体験談でも、回復のペースは人それぞれであることがわかります。

まずは基礎体温の記録や生活習慣の見直しといったセルフケアで心身を整えることが大切です。
次の妊娠を考えるタイミングは、医師と相談の上、ご自身の心と体の準備が整ってからにしましょう。
もし不安な症状が続く場合は、一人で抱え込まず専門医に相談してください。

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この記事の監修者

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藤鬼 千子

住吉鍼灸院総院長

東洋鍼灸専門学校卒業後、2011年4月に住吉鍼灸院に入社し、9年間住吉鍼灸院院長として従事。
現在は総院長として妊娠を望むすべてのご夫婦に貢献している。

《資格》

はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師、不妊カウンセラー

《経歴》

東洋鍼灸専門学校 卒業
住吉鍼灸院 院長就任
住吉鍼灸院 総院長就任

《所属》

日本不妊カウンセリング学会会員

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